
「Shopifyでネットショップを運営しているけど、代引き決済って使えるの?」と疑問に感じたことはないでしょうか?クレジットカードやキャッシュレス決済が主流になっている一方で、現金で支払いたいというニーズも根強く存在します。
今回では、Shopifyで代引きを導入する具体的な方法をはじめ、手数料の設定、アプリの活用、運用時の注意点までわかりやすく解説します。
Contents
Shopifyで代引きは使える?
結論からお伝えすると、Shopifyで代引き(代金引換)は導入可能です。
ただし、標準機能では対応していません。つまり、クレジットカードやShop Payのようにすぐ使えるわけではなく、手動決済としてカスタマイズする必要があります。日本では代引きのニーズが根強く残っており、特に高齢層や法人顧客を相手にするショップでは、導入を検討する価値があるといえるでしょう。
Shopifyで代引きを導入するメリット
Shopifyで代引きを導入するメリットは、次のとおりです。
- クレジットカードに抵抗がある・作れない層に対応できる
- 購入ハードルを下げ、カゴ落ちを防止できる
- 法人顧客やBtoB取引にも対応しやすい
クレジットカードに抵抗がある・作れない層に対応できる
中高年層やネットに不慣れな方の中には、「クレジットカード情報を入力するのが不安」と感じる人も多くいます。さらに、学生や未成年などクレジットカードを持てない・作れない層にとっても、代引きは便利な決済手段です。
代引きを導入することで、そうした幅広い層のユーザーにも安心して購入してもらえるようになる点が大きなメリットといえます。
購入ハードルを下げ、カゴ落ちを防止できる
「商品は欲しいけれど、使いたい決済方法がない」という理由で購入を諦めてしまうケースは意外と多く、これがカゴ落ちの原因になることも少なくありません。代引きという選択肢があるだけで、そうしたユーザーの不安を解消し、購入の後押しになります。
特に、新規顧客や初回購入者にとっては、商品を手にしてから料金を支払える安心感が購買決定の決め手になることもあるでしょう。
法人顧客やBtoB取引にも対応しやすい
法人や企業間取引(BtoB)に対応するうえでも「代引き」は有効な決済手段です。法人ユーザーの中には、社内の経理処理や内部規定の関係で、「クレジットカード払いが使えない」「請求書払いまたは代引きのみ対応可能」というケースがあります。
代引きを導入しておけば、急ぎの商品手配や現場納品が必要な法人顧客にもスムーズに対応でき、リピートにもつながりやすいです。BtoB市場を視野に入れる事業者にとっては、重要な選択肢のひとつといえるでしょう。
Shopifyで代引きを実現する方法
Shopifyで代引きを実現する方法は、次のとおりです。
- 手動決済(オフライン決済)として設定する
- 配送業者の代引きサービスを利用する
- カスタマイズする
- アプリを使う
手動決済(オフライン決済)として設定する
Shopifyで代引きを導入する最もシンプルな方法は、「手動決済(オフライン決済)」として設定する方法です。Shopifyの管理画面から「決済設定」に進み、「手動決済を追加」することで利用できます。
この方法は追加のアプリや外部サービスを使わずに導入できるため、初めて代引きを試す店舗にも適しています。ただし、注文が入っても自動的に「支払い済み」とはならず、商品発送や入金確認はすべて手動で行う必要があるため、注意が必要です。
配送業者の代引きサービスを利用する
もうひとつは、ヤマト運輸や佐川急便、日本郵便といった配送業者が提供する「代引きサービス」を利用する方法です。たとえば、ヤマト運輸の「宅急便コレクト」や佐川急便の「e-コレクト」、日本郵便の「代金引換」などがあり、これらを使うことで実際の集金業務を配送業者に任せられます。
Shopifyと直接連携する仕組みはないため、出荷処理や入金確認などは手動で行う必要がありますが、信頼性のある運送会社と連携することで、業務の一部をアウトソースできる点が大きなメリットです。
カスタマイズする
アプリに頼らず、Shopifyのカスタマイズ機能を活用して代引きを設定する方法もあります。
たとえば、Shopify Flowを使えば、購入金額や配送地域に応じて代引きを有効・無効にするような自動化ルールを設定できます。また、テーマのLiquidコードを編集することで、特定の商品ページやカート画面に代引きに関する注意書きを表示したり、条件によって支払い方法を切り替えることも可能です。
こうしたカスタマイズは自由度が高い一方で、専門知識が必要になるため、導入の際には開発者のサポートを受ける点が安心です。
アプリを使う
専用のアプリを利用する方法もあります。Shopifyにはさまざまなアプリがあり、例えば地域や注文金額に応じて代引きを表示・非表示に切り替えるといった細かな設定ができるものも多いです。
アプリは決済画面でのUIも整っており、手軽に代引き対応を追加できます。ただし、アプリによっては月額費用がかかる場合や、日本国内の配送業者に完全対応していないケースもあるため、導入前に機能の確認が必要です。
Shopifyのおすすめ代引きアプリ
おすすめのShopify代引きアプリは、次のとおりです。
- KOMOJU
- シンプル代引き
- Daibiki Concierge
- CodMonster
- Cash on Delivery Fee
KOMOJU
KOMOJUは、日本の決済事情に特化したShopify対応の決済アプリです。代金引換(ヤマト運輸の宅急便コレクト)を含む複数の決済手段をまとめて導入できます。
購入者はチェックアウト時に代引きを選択でき、店舗側はKOMOJU経由で決済情報を一元管理できる点が特徴です。Shopify Paymentsと併用できない点には注意が必要ですが、日本国内向けにショップを展開する事業者にとっては非常に実用的な選択肢といえるでしょう。
シンプル代引き
シンプル代引きは、日本国内向けに開発されたShopifyアプリで、代引き手数料を自動で計算し、注文の合計金額に加算できる点が特徴です。
Shopify Plus以外のプランでも利用可能で、日本語対応はもちろん、国内ユーザーの利用を前提としたわかりやすい設定画面が用意されています。購入者には手数料込みの金額が表示されるため、安心して注文してもらえる点も大きなメリットです。
Daibiki Concierge
Daibiki Conciergeは、代引き手数料を自動で決済金額に含め、その合計金額を購入完了メールにも反映させられるShopifyアプリです。これにより、購入者への料金通知がスムーズになり、誤解や問い合わせを減らせます。
日本語と英語の両方に対応しているため、多言語ストアにも対応可能です。シンプルながら実用的な機能を備えており、日本国内向けECショップにとって便利なツールであるといえるでしょう。
CodMonster
CodMonsterは、地域や注文金額に応じて代引き決済の表示を制御できるShopifyアプリです。
たとえば、特定の都道府県だけで代引きを利用可能にしたり、高額注文時のみに表示するなど、柔軟な条件設定が可能です。
日本語には対応していないものの、条件付き表示の自由度が高く、運用ルールに応じて細かくコントロールしたい店舗に向いています。
Cash on Delivery Fee
Cash on Delivery Feeは、代引きを選択した注文に対して自動的に手数料を加算できるアプリです。設定した金額や割合に応じて手数料が加算され、注文確認画面や明細にも明記されるため、購入者への説明も明確です。
上述したようにShopify標準では支払い方法別の手数料設定ができないため、代引きにだけ追加費用を反映させたい店舗に適しています。シンプルな操作で導入できる一方、他のアプリとの互換性には注意が必要です。
各社の代引き手数料
各社の代引き手数料(2025年4月時点)は、次のとおりです。
代金額(税込) | ヤマト運輸 | 佐川急便 | 日本郵便 | 西濃運輸 |
1万円未満 | 330円 | 330円 | 290円 | 440円 |
1万~3万円未満 | 440円 | 440円 | 290円 | 440円 |
3万~10万円未満 | 660円 | 660円 | 290円 | 660円 |
10万~30万円以下 | 1,100円 | 1,100円 | 290円 | 2,200円 |
30万円超 | 取扱不可 | 2,200円〜 | 290円(別途書留料、セキュリティサービス料金が必要) | 3,300円〜 |
日本郵便は手数料が安い一方で、高額取引には追加料金がかかります。ヤマト運輸や佐川急便は中小規模の代引きにバランスが良く、上限や条件を確認しながら選ぶことがポイントです。
必要に応じて、コストだけでなく対応スピードや拠点数なども比較して検討しましょう。
Shopifyで代引きを選ぶデメリット
Shopifyで代引きを選ぶデメリットは、次のとおりです。
- 運用がすべて手動になるため、手間がかかる
- 受け取り拒否や未払いのリスクがある
- 配送業者との連携・契約が必要
運用がすべて手動になるため手間がかかる
Shopifyでの代引きは「手動決済」として扱われるため、注文後に「支払い済み」と自動で判定されることはありません。
発送処理や支払い確認、ステータス更新などを自分で管理しなければならず、他のオンライン決済に比べて運用の手間が大きいことがデメリットです。
注文数が増えると、作業負担も比例して増えるため、効率的な運営ができるようにしましょう。
受け取り拒否や未払いのリスクがある
代引きは、商品を受け取るタイミングで代金を支払う仕組みのため、購入者が受け取りを拒否した場合、店舗側が送料や代引き手数料、さらには返送コストまで負担する必要があります。
特に、高額商品の注文や初めて利用する顧客からの注文は、支払いトラブルのリスクが高まりやすく、注意が必要です。
また、悪意のある注文やイタズラ購入といったケースも想定されるため、購入時に注意書きを明記したり、電話やメールによる事前確認を行うなど、リスク対策を講じておきましょう。
配送業者との連携・契約が必要になる
ヤマト運輸や佐川急便などの代引きサービスを使う場合、各社との個別契約が必要です。
また、Shopifyとの自動連携は基本的にできないため、注文情報の手動転記やCSV出力、送り状作成などの作業が発生します。
運用フローが煩雑になりがちで、ミスや管理漏れのリスクもあるため、一定の業務体制が求められます。
Shopifyで代引きを運用する際のポイント
Shopifyで代引きを運用する際のポイントは、次のとおりです。
- 手数料の案内を明確に表示する
- 注意事項を購入前に周知する
- ステータス管理のルールを明確にする
- 悪質な注文やリスクに備える体制を整える
手数料の案内を明確に表示する
Shopifyでは、支払い方法ごとに手数料を個別設定する機能がありません。そのため、代引き手数料を送料にあらかじめ含めたり、オプション商品として別途加算するなどの工夫が必要です。
手数料の案内を明確にしておくことで、注文後のトラブルや問い合わせの発生を未然に防げます。
注意事項を購入前に周知する
代引きには、受取拒否や未払いといったリスクが伴うため、事前に注意事項をしっかり伝えることが重要です。
「ご不在時の再配達には追加送料が発生する可能性があります」や「受け取りを拒否された場合、キャンセル料をご請求する場合があります」といった内容を、あらかじめ商品ページやカート画面に明記しておくことで、トラブルの予防につながります。
購入完了後に注意事項を表示しても手遅れになることがあるため、ユーザーが注文前に自然と目に入る導線づくりがポイントです。
ステータス管理のルールを明確にする
Shopifyで代引き注文を受けた場合、システム上では「未払い」として扱われるため、発送や入金確認、注文ステータスの更新などをすべて手動で行う必要があります。
そのため、受注から商品発送、入金確認までの一連の流れを明確にし、誰がどの作業を担当するのか、いつどのタイミングで処理を行うのかといった運用ルールを社内でしっかり決めておくことが重要です。
対応が属人的になると、ステータス更新漏れや誤発送といったミスの原因になりかねないため、しっかりルールを確認しておくことがスムーズな運用のカギといえます。
悪質な注文やリスクに備える体制を整える
代引き決済では、受取拒否やいたずら注文といったトラブルが発生する可能性もあるため、事前にリスクを想定した運用体制を整えておくことも大切です。
たとえば、初回購入者に対しては確認メールや電話で意思確認を行ったり、高額注文の場合は本人確認を求めるといった対応をしましょう。
また、過去にトラブルがあった顧客を把握し、該当ユーザーに対して代引き決済を利用不可にするなどの制限を設けることで、リスクを最小限に抑えられます。
まとめ
Shopifyでは標準機能に代引き決済は含まれていませんが、手動決済の設定や配送業者のサービス、専用アプリを活用することで導入が可能です。
ただし、安定した運用のためには、注意事項の事前周知やステータス管理のルール化、条件付き表示などの工夫が欠かせません。自社の体制や顧客層に合わせて最適な導入方法を選び、無理のない形で代引きを取り入れることが、トラブルの少ないスムーズな運営につながります。
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