新型コロナウイルスの影響もあり、今までECサイト(ネットショップ)が一般的ではなかった業界でも導入する動きが出てきています。新しくECサイトを起ち上げる場合、まったくゼロの状態からサイトを制作することもありますが、ECプラットフォームを利用することが一般的だと言って良いでしょう。
しかし、ECプラットフォームにもさまざまな種類があるため、どのプラットフォームを利用したら良いかわからないという人も少なくありません。そこで、今回は国内最大の流通総額を誇る「MakeShop(メイクショップ)」と世界最大級の利用シェアの「Shopify(ショッピファイ)」について4つの観点で比較してみます。ShopifyとMakeShopのどちらも機能やサポート体制を整えており、便利に利用できます。ただ、それぞれ特徴は異なり、おすすめの人も異なります。
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Shopify(ショッピファイ)とは
Shopify(ショッピファイ)は、全世界175ヶ国、100万店舗以上のストアで利用されている世界最大のECプラットフォームです。グローバルでの流通総額は10兆円を超えています。初期費用が必要なく、月額課金制です。
そして、デザインはすでに用意されたテンプレートが多く、シンプルで高機能です。さらに、クラウド型(SaaS型)なので、日々バージョンアップもされていきます。2017年に日本で展開が開始された当初は日本語化が不十分でしたが、昨今徐々に利用者が増えており、ShopifyでのECサイト構築も当たり前となってきました。
MakeShopとは
MakeShop(メイクショップ)は、GMO株式会社によって運営されているASPショッピングカートサービスです。8年連続業界No.1の流通額を誇り、取引金額は1,734億円を超えています。そして、2万2千店舗以上に導入されている豊富な実績から、日本国内においてはECストア構築において注目されている一つです。
また、651の豊富で高品質な機能性や自由度の高いカスタマイズ性を兼ね備えながらも低価格で使用でき、誰でも気軽にネットショップを開設できることから評価を得ています。BtoB向けのオプション機能も充実しており、例えば取引先別に送料や価格の設定やポイントの付与などができることは他プラットフォームには少なく、利便性の高い機能です。BtoB向けに高い評価を得ていることから、国内でも人気のプラットフォームとして名前が挙がります。
ShopifyとMakeshopの比較:特徴
まずは、ShopifyとMakeShop、両者の特徴を比較してみましょう。
Shopify
Shopifyの特徴は次の3点だと言えます。
- 拡張性が高い
- 簡単に利用できる
- 導入コストが低い
1. 拡張性が高い
Shopifyには2,000種類以上の豊富なアプリがあり、これらを使用することでさらにストアの機能を拡張できます。アプリにはマーケティング、SNS連携、サポート対応、会計処理、配送手配、SEO対策、海外言語対応、送付状印刷など、さまざまなものがあり、インストールすればすぐに利用できるものばかりです。
ストアを拡張すれば、自分の理想に近づけたり他社との差別化をして販売促進につなげたりできるでしょう(アプリは無料、有料のもの両方があるので注意してください)。
また、API連携もやりやすく、例えば商品情報や入庫情報の自動反映、発送業務の自動化などが可能で、作業効率アップを実現できます。そして、MAツールやタスク管理、CRMなどの外部システムとも連携でき、業務効率向上も実現しやすいです。このように拡張性が高いため、いろいろなことをできる特徴があります。
2. 簡単に利用できる
Shopifyを使うと、簡単にECサイト(ネットショップ)を構築できます。アカウントを作り、商品を追加し、デザインは用意されているテーマを選ぶだけでストアは完成するため、自分でスキルがなくても問題ありません。そのため、ストアの土台は1日もあれば作れてしまいます。
また、実店舗とオンラインの売上や在庫の一元管理もでき、双方で販売している場合もすぐに取り掛かれます。もちろん、オンラインはPCだけでなくスマートフォンやタブレットにも対応しており、デバイスや販売チャネルごとに考えることがないため、展開もしやすいです。
3. 導入コストが低い
Shopifyは初期費用がかからず、月額費用のみで運営可能です。プランは3つあります。
- ベーシック:月額29ドル
- スタンダード:月額79ドル
- プレミアム:月額299ドル
ベーシックでも十分ECサイトとしての機能を持っており、国内だけでなく世界も含めた販売も可能です。
そして、マーケティングから購入までの基本機能はすべて標準装備されています。サイト構築の時間を考えれば、非常に低コストでECストアを構築できるため、試しに使ってみようという方も参入しやすいでしょう。それに、14日間の無料体験もあるため、事前に使い方も含めて試せるので安心です。
MakeShop
一方で、MakeShopの特徴は次の3点が挙げられます。
- 決済方法が豊富
- GMOが運営している
- サポートが充実している
1. 決済方法が豊富
MakeShopの場合、さまざまな決済手段を選ぶことができます。従来のクレジットカードはもちろん、Amazon PayやLINE Payだけでなく、コンビニ決済や代金引換、後払い決済など、事業規模やスタイルにあわせた決済代行企業や多彩な決済方法を選択できる点は、Shopifyにはない魅力です。
導入は基本的に無料で、商品が売れるまではむだな費用をかけずにしかもスピーディーに利用可能です。もちろん、最初からすべての決済方法を利用できますし段階的な導入もできるため、運営しながら決済方法を追加変更できます。
2. GMOが運営している
日本法人のGMOが運営しているため、管理画面などを含めすべて日本語に対応しています。翻訳でよくわからない日本語になっていることはありませんし、一部英語のままで翻訳の時間がかかる手間もありません。
また、日本法人が運営元だと安心という人も多いでしょう。サポート面だけでなく、マニュアルやサイト構築など、すべて日本語でできることは、大きな強みと言えます。
この点において、Shopifyはまだ日本語化が完全ではなく、MakeShopのような国産サービスと比べると見劣りしてしまいます。
3. サポートが充実している
MakeShopには、ECストア開店時における不安や疑問点、そして機能面でのサポートなどを無料で利用できる「ECアドバイザー」というサポートがあります。実際に管理画面を見ながら機能の使い方などを細かく教えてくれるため、わからないことがあればすぐにサポートをお願いすると良いでしょう。
また、サポートは電話やメールだけでなく掲示板も用意されており、過去の質問内容を確認することができます。もし似たような質問があれば、過去の内容から解決できるかもしれません。
その他、無料セミナー開催の実績もあるため、さらに売上を伸ばすための勉強をしても良いでしょう。
ShopifyとMakeshopの比較:料金
続いては、ShopifyとMakeshopの料金の比較をしてみましょう。月額費用だけでなく、初期費用や商品登録数なども合わせて比べてみます。結論からお伝えすると、初期費用や月額費用だけで比べればShopifyの方が安いです。もう少し詳しく見てみましょう。
項目 | Shopify | MakeShop |
---|---|---|
初期費用 | 無料 | プレミアム:10,000円
エンタープライズ:100,000円〜 |
月額費用 | ベーシック:29ドル
スタンダード:79ドル プレミアム:299ドル |
プレミアム:10,000円
エンタープライズ:50,000円〜 |
商品登録数 | すべてのプランにおいて無制限 | プレミアム:10,000点
エンタープライズ:50,000点 |
手数料 | クレジットカード払い
・国内:3.4% ・海外:3.9%(ベーシックプラン時) |
決済手数料
・0円 |
Shopify
Shopifyは初期費用がかからず、月額費用だけでサイト構築はできます。3つのプランがありますが、一番安価な「ベーシックプラン」でも基本的な機能は備わっており、特に個人ユーザーであれば問題なく利用できるでしょう。
ただし、有料のアプリやテーマもあるため、すべて無料というわけではないことには注意してください。また、クレジットカード決済は、スタンダード、プレミアムとプランが変わると0.5%ずつ低くくなります。
項目 | 内容 |
---|---|
初期費用 | 無料 |
月額費用 | ベーシック:29ドル
スタンダード:79ドル プレミアム:299ドル |
商品登録数 | すべてのプランにおいて無制限 |
クレジットカード手数料 | ・国内:3.4%
・海外:3.9%(ベーシックプラン時) |
MakeShop
MakeShopは初期費用がかかり、またプランによって商品登録数が異なります。また、Shopify同様で有料オプションがあるので、追加で費用がかかることもあるでしょう。ただし、有料のテンプレートはないことはShopifyとの違いです。
決済手数料は0円なので、どれだけ売っても売上手数料は一切かかりません。これは大きな魅力だと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
初期費用 | プレミアム:10,000円
エンタープライズ:100,000円〜 |
月額費用 | プレミアム:10,000円
エンタープライズ:50,000円〜 |
商品登録数 | プレミアム:10,000点
エンタープライズ:50,000点 |
決済手数料 | 0円 ※決済手数料 |
ShopifyとMakeshopの比較:メリット
続いて、メリットを比較してみましょう。ECストアを作る目的は一緒ですが、メリットはそれぞれ異なるため、どちらを利用するかで悩んでいる方は参考にすると良いでしょう。
Shopify
Shopifyのメリットは、海外発のEコマースのプラットフォームということもあり、「多言語対応」が簡単なことが挙げられます。また、世界中で使われていることから情報が豊富です。そして、「実店舗との連携」も大きなメリットと言えます。
- 多言語対応が容易
- 情報が豊富
- 実店舗と連携できる
1. 多言語対応が容易
Shopifyは世界175ヶ国以上で利用されているため、世界のさまざまな言語や通貨、税率、決済方法に対応しています。そのため、越境ECを行える機能が整っており、日本国内だけでなく海外顧客を狙ったストア展開が可能です。世界をマーケットにしているのであれば、Shopifyを選ぶと良いでしょう。
越境ECにおいては、言語と通貨の問題は避けられません。しかし、Shopifyにはこの壁を乗り越えるソリューションが用意されています。
2. 情報が豊富
Shopifyは世界中のさまざまな人や企業に使われているため、インターネットで検索するとカスタマイズやアプリの情報が多くヒットします。日本語のもの以上に英語のものが多いため翻訳に時間を要してしまいますが、世界の人が使ったナレッジを共有できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
特に、テーマによる速度やアプリの評判などは、自分たちのストアにも活かせる情報です。自分で情報を取ろうとすればたくさんあるので、ぜひ活用してください。
3. 実店舗と連携できる
オンラインだけでなく実店舗やポップアップストアで販売したいとき、売上や在庫情報を一元管理できます。「Shopify POS」というアプリがあるからです。そのため、わざわざオンラインと実店舗とで分けてシステムを作る必要はなく、業務効率を改善できます。
そして、販売ミスもなくせるため、実店舗で一気に売れてしまい、本当は在庫がないのにオンラインで販売してしまい、結局キャンセル依頼を出さなくてはならないといった事態を引き起こしません。
MakeShop
MakeShopのメリットは、スキルを必要とせずに「直感的にECサイトを作れる」ことが挙げられます。そして、会員登録しないと購入できない「会員制サイトを作れる」ことと、「多くの外部サービスとの連携」もメリットと言えます。
- 直感的にECサイトを作れる
- 会員制サイトを簡単に作成できる
- 多くの外部サービスと連携できる
1. 直感的にECサイトを作れる
MakeShopは、Webページを制作するための専門知識を必要とせずに、Webサイトのコンテンツ管理を実現する仕組みです。自動的にページが生成されるため、管理もスムーズにできます。
整理された管理画面上でページの追加と更新が行えて、どこに何のページがあるか一目でわかる構成です。これならば、難しいスキルがなくても運営できるでしょう。
また、お問い合わせやカート、アンケート、動画などの通常ならば高度な機能も簡単に使いこなせます。知識がないけれど、ECサイトを作りたいという人におすすめです。
2. 会員制サイトを簡単に作成できる
特にBtoBの場合、特定の取引先だけの特別価格で販売したいといった要望を持つ企業もあるでしょう。そんなとき、MakeShopなら会員制ECストアにカスタマイズするための機能オプションがあるため、簡単に実現できます。
複雑な設定や高い開発費用は必要なく、ログイン時に会員情報で通常のものか会員なのか自動判別し、ECストアに価格や決済方法などの2通りのデータを一元管理できます。そのため、面倒な二重管理を防ぎ業務効率をアップできるのです。会員制サイトを作りたいなら、MakeShopを検討すると良いでしょう。
3. 多くの外部サービスと連携できる
店舗管理や販促、決済など、さまざまな外部サービスとの連携が可能です。例えば、販促ならInstagramやYahooショッピング、価格.comなどと連携し、幅広い販売ができます。
決済は、アマゾンペイや楽天ペイなどと連携し、さまざまな決済を実現しています。そのため、ユーザビリティをさらに高めることができます。
MakeShopは、これからも外部サービスとの連携を強化していくとのことなので、まだまだ連携できるものが増えていくでしょう。
ShopifyとMakeshopの比較:おすすめの人
最後に、ShopifyとMakeShop、それぞれをおすすめな方を紹介しましょう。
Shopify
Shopifyをおすすめな人は、「海外向けの販売を考えている人」と、「自分自身でカスタマイズをしたい人」の2つです。
- 越境ECサイトを制作したい人
- サイトをカスタマイズをしたい人
1. 越境ECサイトを制作したい人
Shopifyには、越境ECを運営するための機能が標準搭載されています。海外もマーケットとして考えているのであれば、Shopifyを使った方が欲しい機能がすでにあることから、時間を掛けずにストア構築をできるでしょう。
そして、デザインもシンプルなものが多く、日本以外でも受け入れられるため、海外向けに作り直す必要はありません。言語や通貨、決済、配送面にも便利なアプリがあることから、海外での販売にチャレンジもしやすい下地はそろっています。
2. サイトをカスタマイズをしたい人
Shopifyは、テーマと呼ばれるテンプレートや専用のアプリが多数あります。テーマによって持っている機能が異なり、カスタマイズを自由にできます。スライドショー、画像、バナー、キャプションのオーバーレイ、横並び配置など、自分が作りたいストアにカスタマイズできるため、他社との差別化を図れます。
また、アプリもインストールすればSEOやマーケティングなどに役立つものがあり、ストアだけでなく販売や管理も効果的に進められます。自分で作りたいストアイメージがある方には、Shopifyがおすすめです。
MakeShop
MakeShopをおすすめな人は、「丁寧なサポートを欲しい人」と「CSSやHTMLの知識がない人」です。
- 丁寧なサポートを受けたい人
- HTMLやCSSの知識がない人
1. 丁寧なサポートを受けたい人
MakeShopでは、手厚いサポートが用意されています。開業から運営中、サイト構築など、さまざまな問題が出てくるでしょう。そんなときは、専用のECアドバイザーに相談してください。
ECストアの開店にまつわる不安や疑問点の解消、機能面でのサポートなど、すべて無料で回答してもらえます。ECアドバイザーも日本人なので、言語の心配もありませんね。
特に、EC運営を始めたばかりでわからない人には心強いサービスです。相談できる相手がいれば、失敗する可能性を減らせるでしょう。
2. HTMLやCSSの知識がない人
直感的な操作でストア構築をできるため、HTMLやCSSの知識がなくても問題ありません。Shopifyでは、運営していくにつれてどうしてもHTMLやCSSのスキルがないと利用できない機能や見せ方などが出てくるため、知識をつけなければなりません。しかし、MakeShopであればその必要はなく、高度な技術がなくても設定が可能です。
例えば、ドラッグ&ドロップなどは、パソコンの基本操作でできるといったことがあります。そのため、難易度の低い作業でストアを作れるのです。そのため、HTMLやCSSの知識がない人は、MakeShopを検討すると良いでしょう。
まとめ
ShopifyとMakeShopの特徴やメリットを比較し、おすすめの人を紹介しました。
Shopifyは、拡張性が高く、海外での販売を考えている人に向いています。一方で、MakeShopは、サポートが充実しており、知識がなくてもストア構築をできる強みを活かしたい人は、導入を検討すると良いでしょう。
なお、どちらも無料トライアルを実施しているので、どちらも触ってみてから決めるのもおすすめです。ECサイトは、これからますます利用される市場だと言われています。悩む前に、まずは試してみると良いでしょう。
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