Shopifyでのセット販売

Shopify(ショッピファイ)でのECサイトの運営で売り上げ向上のためによく利用される手法に「セット販売」があります。複数の商品をセットにして販売する方法のセット販売は「バンドル販売」とも呼ばれており、売り上げの向上以外にも、セット内容の組み合わせ方を工夫することで生まれるメリットがあります。

大手のECモールでもセット販売(組み合わせ販売)の設定は可能ですが、さまざまな制限があります。たとえば、楽天市場では3種類までしか設定できなかったり、割引き価格の設定ができなかったりします。

そのため、Shopifyの独自ストアでセット販売の設定をすることで、モールとの差別化をして独自サイトの売り上げを上げていく事も可能です。今回は、Shopifyにおけるセット商品の販売方法と効果的なセット商品の設定方法、おすすめのアプリについて解説します。

セット販売とは

セット販売とは、ある商品を複数、あるいは2つ以上の別の商品を組み合わせてセットとして販売することを指します。セット商品に割引き価格を設定して、購入率を上げることを目的として設定することが大半です。

また、商品がセットになっていることで、ユーザーにとってはお得感が生まれ、予定していたよりも多くの商品を購入する効果のことをバンドル効果といいます。

「商品Aと商品Bを合わせて購入すると10%OFF」とか、「同じ商品を2つ購入すると○○プレゼント!」といった割引きの表示を見たことを見たことがあるかと思います。セット商品を提供することで得られるユーザー側のメリットは、1つずつをバラバラに購入するよりも安く購入できることです。これがセット販売を購入する時の購入者側の最大のメリットです。このメリットを活かして、セット販売でバンドル効果を高めていきましょう。

ユーザーは商品の購入単価をおさえて購入できるため、購買意欲が高まるとともに、ショップ側には顧客単価の引き上げというメリットも生まれます。

セット販売には、他にもセットされた商品に特別なラッピングをする「ギフトセット」の場合には、プレゼント用に「関連する商品をセットにしてキレイにラッピングされたものが欲しい」というニーズもあることが考えられますので、こういったニーズに応えていくこともできるでしょう。

セット販売はユーザーの多様なニーズに応えるだけでなく、注文単価を上げる目的で、多くのECサイト運営者が行なっているマーケティング手法です。よく見かけるセット販売の例として、たとえば同一商品の異なるバリエーション(色、サイズ、味など)をセット商品として割引き価格で提供したり、アパレルであればおすすめのコーディネートなどをセットにしたりする場合があります。

また、どれを購入するかを迷っている顧客に対して、使用シーンや目的に合わせたおすすめのセット商品を提案することも有効なマーケティング手法です。

セット販売の注意点

Shopify(ショッピファイ)では、このようなセット販売の商品に対して、デフォルト機能でディスカウントを設定することができます。

しかし、ネットショップは、実店舗での販売のように、購入するお客様に対して直接セットで購入する商品の提案ができません。そのため、セット販売による割引き価格などがユーザーに認識されず、そのまま購入してしまったり、もしくは購入の決め手に欠けて、離脱してしまったりすることもあります。

ショップ内の適切な場所にセット商品を表示させたり、カート画面に「こちらも合わせて購入すると○%オフ」と表示させたり、あるいはポップアップを表示できるようにしておいたりするとより効果的です。

ただし、まったく関連のない商品やユーザーの興味のない商品をセット販売として提案しては、信頼度を損ねて逆効果になりかねません。ユーザーのニーズを考慮した上で、販売するセット商品の内容や時期などを設定して売り上げ向上を目指していきましょう。

合わせてユーザーの利益に反するようなセット内容の場合(手に入りにくい商品になかなか売れない商品をセットにする)、抱き合わせ販売として違法な行為とされてしまうケースもありますので、そのようなセット販売はやめておきましょう。

クロスセルとは

セット販売の効果を考える際に、一緒に考えたいのが「クロスセル」という手法です。

クロスセルとは、ある商品の購入を検討しているユーザーに対し、別の商品もセット、もしくは単体で一緒に購入してもらうためのセールス手法です。すでに商品に興味を持っている顧客に対して、プラスアルファの購入をしてもらうことが狙いです。

ファーストフードのお店でハンバーガーを注文した際に、ポテトやドリンクをおすすめすることも代表的なクロスセルですし、家電量販店でパソコンの購入と同時にプリンターなどの周辺機器をおすすめするのもクロスセルの手法といえます。

通販サイトにおいては、Amazonでの「よく一緒に購入されている商品」を表示するレコメンド機能も優秀なクロスセルです。

いずれにせよ、必ずしも割引きを伴うとは限りませんが、同時に購入することで何かしらのメリットをユーザーに与えることにより、成功すればわずかなコストで購入単価を高めることができるでしょう。

Shopify(ショッピファイ)でセット販売する方法

セット販売は、何でもセットで販売すれば良いというわけではありません。ユーザーのニーズを十分に考えた販売戦略を立てる必要があります。販売する商品やショップの運営方針によって戦略は異なりますが、ユーザーのニーズや市場の動向、ショップが抱えている課題を考えてセット販売をすると良いでしょう。

たとえば、在庫が余っている商品があるなら、在庫状況に合わせてセット販売をすることで、在庫を削減できる点がショップ側のメリットとなります。単品では売れにくい商品も、メインの商品とセットにすることで価値を高められれば、売り上げ数が改善することは珍しくありません。

また、ショップの売上は「客数×客単価」と定義することができるため、売上向上には顧客単価の向上は欠かせません。商品をセット販売することで、商品の単品での販売と比較して、一回の購入における客単価を上げられるようにしておけます。

セット販売する方法
  • 同一商品のセット販売
  • 関連する商品とのセット販売

同一商品のセット販売

具体的なセット販売の設定方法として、まずは同じ商品をセットにして販売する手法があります。

たとえば、1個500円の商品でも、2個900円で販売するとどうでしょうか?たったの100円ですが、ユーザーのお得感を刺激することは間違いないですね。

実店舗でもこのような手法はよく用いられています。普段のお買い物でも意識してみると、魅力的なセット販売の方法が見つかるかもしれません。

関連する商品とのセット販売

関連する商品をセットにして販売する手法です。こちらの手法も、実店舗でもよく見かけることでしょう。ファーストフード店や飲食店でもお馴染みの販売手法で、クロスセルと合わせて割引価格での提案ができます。

単品で購入するか、セットで購入するのか選択するのはもちろんお客様ですが、割引き価格を設定することで、商品を選ぶ手間を省かせ、お得な価格で提供できると売り上げの向上につながります。この手法もしっかりと覚えておいてください。

なお、関連した商品をセット販売するときは、2つペアでなくても問題はありません。3つの商品のセットでも問題ありませんし、セットの内容も複数から選択できるようにすることも、お客様にとってより良い設定と設定といえます。

割引き率に関しては、ショップの運営方針や収益状況によって決めることになりますが、利益率を下げすぎずに売り上げが上がるように設定してください。

バリエーション機能を使ったセット販売

Shopify(ショッピファイ)でセット販売をする方法として、まずはアプリを使わずにバリエーション機能を利用した設定方法を紹介していきます。たとえばAという商品に、もう一つ選べる商品をセットとして販売する方法です(商品Aは固定の商品)。

この場合、Shopifyの商品登録画面でオプションにチェックを入れます。

Shopifyの商品登録画面

たとえば、コーヒーメーカーにいくつかの種類のコーヒー豆をセットにする場合、オプション名に任意の言葉(豆)を入力し、オプション値にコーヒー豆の種類(オリジナルブレンド、キリマンジャロ、モカ等)を入力していきます。

価格には割引きした価格を入力しておきますが、割引き前の価格を入力しておくことでセールバッジが表示されるので、お得感を伝えられるでしょう。

Shopifyの商品価格設定

ただし、この場合、単品の商品とセット商品はまったく別の商品として商品登録することになるため、在庫管理や発送業務が少し煩雑になってしまうというデメリットがあります。セット商品が売れた際に、セット内容に設定されている商品を単品の商品の在庫から調達する必要があり、その度にShopifyの在庫数を手動で調整していく必要が出てきます。

もしくは、セット商品としての在庫を単品商品から振り分けて、ある程度確保しておくという方法もあります。この場合は、単品あるいはセット商品のどちらかの在庫がなくなった際に、振り分ける数を改めて在庫に設定して調整しなければなりません。

セット販売におすすめのShopify(ショッピファイ)アプリ

Shopify(ショッピファイ)でセット販売をする際には、アプリを利用すると先ほどのような在庫情報の修正作業がなくなります。また、セット商品販売を検討する際に、意識するべきキーワードの「バンドル効果」もアプリを利用した方が高められやすくなるでしょう。

バンドル効果によってショップが受けられるメリットには、主に次のことが挙げられます。

  • 販売個数全体を増やすことができる
  • 利益率の高いものと低いものを組み合わせることができる
  • 在庫状況に合わせて、在庫をなくすことができる

そのため、セット販売アプリにはバンドルという名前がついているアプリが多くなっています。

セット販売におすすめのアプリ
  • リテリア セット販売
  • Bundler ‑ Product Bundles
  • バンドル製品 | アップセル

リテリア セット販売

リテリア セット販売

Shopifyのアプリの、『セット売り|リテリア セット販売』は、日本語に完全に対応したセット販売のためのアプリです。Shopifyのストアにノーコードでセット販売に必要な機能を実装できるアプリで、使い方が非常にわかりやすいため、簡単にセット販売を始められます。

もちろん、セット商品を購入する時の割引を、パーセント割引や定額割引などで提供する機能もあります。具体的な割引き価格や割引き率を数値として表示することもできるため、バンドル効果により注文単価の向上が期待できるようになります。

また、セット販売商品の表示カラム数やカラム間の間隔、ボタンや割引タグの配色、各部分のフォントサイズなどのカスタマイズも簡単に可能なので、自分好みのセクションに変更することも可能です。日本のアプリであるため、サポートも日本語に対応しているため安心です。

Bundler ‑ Product Bundles

Bundler ‑ Product Bundles

Bundler ‑ Product Bundlesも、パーセンテージによる割引、定額割引、送料無料割引、ボリューム割引(商品をいくつ買うといくら割引)といったセット商品の設定が可能な高機能なアプリです。

ダッシュボードではセット販売の売上数や注文数、売り上げ金額などの確認ができるため、管理業務の負担を軽減でき、売れているセット商品の分析も可能です。

また、サブスクリプションにもセット割引を適用することもでき、サブスクリプションの最初の注文、またはすべての注文に割引を適用させるという事までできるアプリです。

ファネルを使用すると、顧客がバンドルから商品を1つ追加するたびに表れるポップアップの設定ができるので、クロスセル機能と合わせて効果的にセット商品をアピールすることもできます。

クイックバイにも対応したボタンで、ポップアップアップのから直接チェックアウトに遷移させることもでき、ページの遷移回数を減らしてショップのコンバージョン率の向上も期待できます。

設定時には実際に、ショップのページでどのように表示されるのかのプレビューを見ながらも作業を行えるため、設定ミスを防ぐ事ができるのもこのアプリのメリットといえるでしょう。

バンドル製品 | アップセル

バンドル製品 | アップセル

バンドル製品 | アップセルは、価格の安さと機能の多さで人気の高いセット商品アプリです。セット販売を実装するために必要な基本的な機能はすべて備えてくれていると考えても良いアプリで、先に紹介したアプリと同様に、セット商品にさまざまなディスカウント設定が可能です。

また、商品を選んで、多様な組み合わせでセット購入できるボックス機能もあり、お客様は自由にボックスに入れる商品を選択し、自分だけのオリジナルセットとして購入することができるようになります。Shopifyアプリストアでのレビュー数も多く、安心して使用することができるのもメリットの一つだといえるでしょう。

ただ、こちらのアプリは日本語には対応していません。サポートへの連絡にも英語が必要になるため、英語が得意な運営者向けのアプリとなっています。

まとめ

近年は新規顧客を獲得するために、また、既存の顧客とのより良い関係を構築するために、LTV(ライフタイムバリュー)を向上するという手法が定着してきています。激しい価格競争に巻き込まれるよりも、ストアにとっても顧客にとっても、満足度を上げられるようなサービスを意識していく必要があるかもしれません。

ユーザーが求めているものは何なのか?それは、価格が安いということだけではありません。セットで購入することで得られるメリットに着目し、魅力的なセット商品を準備してユーザーに提案・販売することで、ライバルとの差別化を計っていきましょう。

また、セット商品の販売を行う上で、注意すべき点もお伝えしてきました。単品の商品とセット商品の在庫をそれぞれ分けて管理する場合、適切な在庫数を設定していなかったり、売上状況によって在庫を柔軟に変更できるシステムが整っていなかったりすると、在庫切れで販売機会の削減につながりかねません。また、人為的なミスも起こりやすいです。

そうならないようにするには、アプリを利用し、単品商品もセット商品も販売の機会を最大限にしておくことをおすすめします。アプリによりスムーズにセット商品の販売を実現することができるでしょう。

Shopifyを利用すれば、カスタマイズされた商品を販売するECサイトを構築できます。これは、モールへの出店では実現できないでしょう。しかし、自社で構築するには手間と時間がかかるため、制作会社などに依頼する方法がおすすめです。

また、ShopifyのECサイトを成功させるには、制作するだけでなく、広告運用などマーケティングの部分も重要です。ShopifyでECサイトの新規制作・リニューアルをお考えの方や、Web広告などによるプロモーションを行いたいとお考えの方は、こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。Shopify Guideはメディアの運営によってShopifyに関する幅広く情報を得ているため、Shopifyでの運営ノウハウを共有することができますよ。

Qries