
実店舗だけでなく、ECサイトを制作し、運営を始める企業が増加しています。ECサイトを運営するにあたって重要な判断基準の一つに、決済方法の豊富さが求められるでしょう。ユーザーが普段から利用している決済手段に対し、いかに多くの決済手段に対応するかが重要です。
世界各国で利用されているECサイト制作サービスであり、日本でも利用者が増えている「Shopify(ショッピファイ)」では、「Shopify ペイメント」という独自の決済サービスを用意しています。Shopify独自の決済サービス「Shopify Payment」はどのような特徴があるのでしょうか?
今回は、Shopify Payment(Shopify ペイメント)のサービス内容と、導入するメリットや特徴について解説していきます。
Contents
Shopify(ショッピファイ)とは
そもそも、Shopify(ショッピファイ)を利用する人が増えているのはなぜなのでしょうか?世界各国でシェアを拡大しており、日本国内でも利用しているユーザー数が増えています。
利用者が多い理由の一つは、Shopifyは月額定額で利用できるSaas型のコマースプラットフォームなので、費用が安価なので利用しやすいという理由が挙げられるでしょう。手軽にECサイトを立ち上げたい方から、大規模なECサイトまで幅広いニーズに対応しています。
販促ツールや決済システム、商品管理や配送などのバックヤード業務まで幅広くカスタマイズできるのも魅力の一つといえます。ECサイト運営において、ユーザーが使用する決済手段に対しどれだけ多く対応できるかは大切なポイントです。
Shopify Payment(Shopify ペイメント)とは?
Shopify Payment(Shopify ペイメント)は、外部の決済サービスを利用せずにクレジットカードなどの決済手段を利用できるサービスです。
外部サービスは申し込みから利用するまで時間もかかり、設定がわずらわしいと感じることもあるでしょう。Shopify Paymentはあっという間に設定が完了するのですぐ使用できます。
Shopify Payment(Shopify ペイメント)のメリット
Shopify Payment(Shopify ペイメント)は、管理画面からワンクリックで実行できる手軽さが魅力です。ただし、手軽に操作できるだけではメリットがあるとはいえません。Shopify Paymentを利用するメリットは他にどのようなものがあるでしょうか?
Shopify Paymentのメリットは、大きく分けると次5つに分かれます。それぞれ解説していきましょう。
- 取引手数料が無料
- 海外取引にも対応している
- Shop Pay機能を活用してカゴ落ち率が低下する
- Shopifyの管理画面で売上・入金金額を確認できる
- 審査不要ですぐ使える
取引手数料が無料
Shopify Paymentを利用すると、ユーザーが決済したものは取引手数料が無料になります。Shopify Paymentを使わず外部サービスを利用する場合、取引手数料は次のとおりです。
ベーシック | スタンダード | プレミアム |
---|---|---|
2.0% | 1.0% | 0.5% |
クレジットカード等の決済の場合、取引手数料の他に決済手数料も発生します。Shopify Paymentを利用して取引手数料を減らせることはメリットだいえるでしょう。
海外取引にも対応している
Shopifyは、カナダで立ち上げられたサービスなので、日本国内はもちろん、海外取引にも対応しています。海外ユーザーは、ECサイトで商品を購入する際、現地通貨で決済できなければ購入するのを控えると回答している人が3割を超えています。
海外取引をするためには、海外ユーザーが利用している通貨での価格表示が求められるでしょう。Shopify Paymentを設定し事前に「Geolocation」というアプリを導入すると、サイトを訪問したユーザーのIPアドレスをもとに、どの国から訪れているのかを識別します。そして、ユーザーが使用している通貨に換算した価格を表示します。
Shopify Paymentを導入すると海外販売で課題になる次の点について対応してくれるので安心です。
- 海外の現地通貨に換算して価格表示ができる
- 外貨換算がデフォルトで設定されている
- 各国に合わせた税金表示に対応している
海外の国の中には、商品の価格表示を税込みでの表示を義務付けしている国と、税抜き表示を義務付けている国があります。それぞれの国に対応できるよう、Shopifyは税抜きと税込みと両方の料金を掲載しています。価格についても自動為替レートが設定されているので自動で外貨換算ができます。
Shop Pay機能を活用してカゴ落ち率が低下する
ECサイトで商品を購入する際に、名前や住所カード情報など入力する箇所が多いと、入力が億劫になってしまう方は多いのではないでしょうか?Shop Payはクレジットカードの情報や住所などを保存しておくと、2回目以降の買い物は保存した情報を用いて簡単に商品の購入ができるサービスです。
いったん保存した情報を引き出すには、登録した携帯SMSに6桁の認証コードが届いてから対応するので、セキュリティも万全です。Shopify Paymentを利用すると、Shop Pay機能も併せて利用できるため、ユーザーが商品を購入する際にストレスなく購入手続きを行えます。
Shopifyの管理画面で売上・入金金額を確認できる
Shopify Paymentを利用すると、売上の入金や出金は管理画面でリアルタイムに確認できます。注文や売上、出荷や在庫、返金といった手続きを1つの画面で行えるのは効率的です。
審査不要ですぐ使える
Shopify Paymentは、Shopifyの利用開始と同時に予め設定できるようになっています。そのため、使用可能なクレジットカード会社に事前に審査をする必要はありません。
Shopify Payment(Shopify ペイメント)のデメリット
Shopify Payment(Shopify ペイメント)はメリットの多い決済システムですが、デメリットもあります。ひとつずつ解説しましょう。
- 後払いなどの決済に対応していない
- 現在使用できる国が限られている
後払いなどの決済に対応していない
Shopify Paymentは、主要4社のクレジットカードやGoogle PayやApple Payに対応しているので、決済手段は豊富です。ただし、Shopifyで使用できる決済手段のすべてに対応しているわけではありません。
- Paypal
- Amazon Pay
- KOMOJU
- 携帯キャリア決済
- Paidy
- GMOイプシロン
- SBペイメントサービス
- NP後払い
- atone
参照元:Shopify ブログ
携帯のキャリア決済やコンビニ支払い、後払いといった決済サービスも利用可能ですが、Shopify Paymentには含まれていないため、個別に設定が必要です。ユーザーが利用している決済サービスに対応していないと、買い物せずに離脱されてしまう可能性があります。
現在使用できる国が限られている
Shopify Paymentは現在、世界各国で利用できるわけではありません。利用できる国は限られています。現時点で対応している国は次のとおりです。
- オーストラリア
- オーストリア
- ベルギー
- カナダ
- デンマーク
- チェコ
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- 香港特別行政区
- アイルランド
- イタリア
- 日本
- オランダ
- ニュージーランド
- シンガポール
- スペイン
- スウェーデン
- イギリス
- アメリカ
参照元:Shopifyヘルプセンター
Shopify Paymentは、上記20ヶ国のみ設定できます。欧米諸国と香港、シンガポール、アメリカと日本の他に、Shopify発祥の地であるカナダです。アジア圏に向けた越境ECを検討している場合は、別の決済手段を考える必要があるでしょう。
Shopify Payment(Shopify ペイメント)の決済手数料
Shopify Payment(Shopify ペイメント)を利用すると取引手数料は無料です。ただし、決済手数料は発生します。Shopify Paymentの決済手数料は、使用するクレジットカードにより異なります。
ベーシック | スタンダード | プレミアム | |
---|---|---|---|
日本国内(JCB除く) | 3.4% | 3.3% | 3.25% |
海外/AMEX | 3.9% | 3.85% | 3.8% |
JCB | 4.15% | 4.1% | 4.05% |
Shopify Payment(Shopify ペイメント)を使用するための手順
続いては、Shopify Payment(Shopify ペイメント)を使用するための手続きについて解説します。
Shopify Paymentを有効にするのはクリック一つで有効になるのでとても簡単です。ただ、それより前にShopify内で設定しなくてはならない情報があります。
Shopify Payment利用にあたって事前に準備が必要なものは次の2つです。
- 銀行口座情報
- 明細書に記載する請求者情報
使用前に必要な情報を登録
Shopify Paymentの利用手続きをする前に、売上金を入金する銀行口座情報を確認しましょう。また、ユーザーが決済した際に発行される明細書に記載する請求者情報も事前にチェックしておく必要があります。
この2つがないと、Shopify Paymentの有効化の手続きができません。
Shopify Paymentの設定
Shopify Paymentの設定手順について解説します。Shopify Paymentの設定手順は次のとおりです。
- ストアで使用する通貨を設定する
- Shopify Paymentを有効化する
- 設定画面が表示されるので必要事項を設定する
- 決済システムが正常に作動するかテストする
Step1:ストアで使用する通貨を設定する
Shopify Paymentを利用するには、まずストアで受け取る通貨の設定をしなければなりません。Shopifyでは、ストア通貨と支払い通貨の2種類を使用します。
- ストア通貨:商品の価格を決定するときに使用する通貨
- 支払い通貨:Shopify Paymentが銀行口座に入金する際に利用する通貨
ストア通貨はShopifyの管理画面の通貨設定で、設定可能になっているものであれば利用可能です。支払い通貨はストアの所在地により異なります。
原則として、ストアの所在地と支払い通貨は同一である必要があります。日本国内のストアの場合に設定するのは日本円です。
参照元:Shopifyヘルプセンター
Step2:Shopify Paymentを有効化する
ストア通貨の設定が完了したら、Shopify Paymentの有効化を実行しましょう。Shopify管理画面の「設定」から「決済」を選択します。その後、アカウントの設定を完了するというボタンをクリックして有効化の手続きをします。
Step3:設定画面が表示されるので必要事項を設定する
まず、ビジネスの種類を選択しましょう。個人/個人事業主か法人のいずれかで該当する方を選択します。
ビジネス情報を「法人」で選択する必要がある場合、法人名の他に「法人番号」が必要なので事前に準備しておきましょう。不明な場合はGoogleで「会社名+法人番号」で検索すると検索結果に表示されるので確認してみてください。
法人の情報を入力した後は、個人情報の登録です。ストアの管理者の名前や連絡先を入力しておきましょう。
続いて、販売する商品の詳細と請求明細書について設定します。ビジネスカテゴリーはECサイトで販売する商品に関連する業種をプルダウン式で選択します。設定できる業種は次のとおりです。
- ソフトウェア
- ビルディングサービス
- プロフェッショナルサービス
- メンバーの団体
- 交通
- 医療サービス
- エンターテイメントと娯楽
- 小売
- デジタル商品
- 金融サービス
- 食料品
- 教育
- 衣料品とアクセサリー
- 規制商品および年齢制限商品
- 旅行と宿泊
- コンサルティングサービス
ビジネスと業種のサブカテゴリ―を登録した後は、販売する商品について記載します。Shopify Paymentを利用できない業種があります。商品説明は、禁止している業種に該当しないかどうか判断するために必要なので記載することを推奨します。
禁止されているビジネスは金融サービス、アダルトコンテンツ、知的財産権の侵害にあたるもの、規制対象の製品(たばこや医療品など)、動物、ハイリスク事業、テレマーケティング、産業廃棄物処理、健康器具などが該当します。こちらはごく一部の紹介です。詳しくはShopifyの規約を参照してください。
参照元:Shopify Payments Terms of Service
Step4:決済システムが正常に作動するかテストする
Shopify Paymentの「管理する」をクリックすると、これまで設定した内容を確認できます。
- 支払い明細書の表記
- 支払いスケジュール
- 不正注文の防止
- 請求明細書
上記4つの設定画面が表示されるので、それぞれ設定しておきましょう。支払い明細書は銀行取引の明細書に表記されるものです。経費処理などで後日問題が無いように設定しておきましょう。
支払いスケジュールは毎週か毎日のどちらかを選択できます。毎週の設定の場合、銀行が営業している月〜金まで希望の曜日を選択できます。毎月の設定であれば1日〜31日まで好きな日程を選択可能です。
ここまでの設定を完了したら、テストモードで決済ができるかシミュレーションします。
Shopify Paymentの一番下にテストモードの設定欄があります。テストモードを使用するにチェックを入れて右下の「保存する」ボタンをクリックします。
実際にShopifyのストア上でテストするには、テスト用のクレジットカード番号が必要です。Shopifyの公式ホームページにダミーのクレジットカード番号が掲載されているので、そちらを利用しましょう。
- カード名:最低限2文字は入力
- 有効期限:将来の日付を入力
- セキュリティコード:適当に3桁で登録
- カード番号:次の表の中から使用(カード会社ごとにダミー番号あり)
カードタイプ | クレジット番号 |
---|---|
Visa | 4242424242424242 |
Mastercard | 5555555555554444 |
American Express | 378282246310005 |
Discover | 6011111111111117 |
Diners Club | 30569309025904 |
JCB | 3530111333300000 |
取引が失敗したときの表記方法を確認するコードも用意されています。
失敗した取引のシミュレーション | エラー表示内容 |
---|---|
クレジットカード:4000000000000002 | カード拒否メッセージ |
クレジットカード:4242424242424241 | 不適切な番号メッセージ |
クレジットカード:4000000000000259 | 異議が申し立てられた取引 |
有効期限の無効な日付(13など)を入力 | 無効な有効期限月のメッセージを生成 |
有効期限年に過去の年を使用 | 無効な有効期限年のメッセージを生成 |
2桁のセキュリティコード番号を使用 | 無効なセキュリティコードメッセージを生成 |
参照元:Shopifyヘルプセンター
Shopify Paymentが正常に決済できるかを、上記のコードでテストしてから、Shopify Paymentを利用しましょう。
まとめ
Shopify Payment(Shopify ペイメント)について導入するメリットや、設定するための手順を解説しました。
Shopify Paymentは取引手数料がかからず利用でき、複数の決済手段が含まれているので、ECサイトの運営と同時に利用できるのがメリットといえます。売上金の入金も毎週1回ずつ入金になり、管理画面上で入出金が把握できるのでキャッシュフローもわかりやすいです。
ただ、コンビニ決済や後払い決済といった、日本国内で使用されている決済には未対応なので、外部決済サービスと併用するといった使い方も検討していく必要があるでしょう。
今回紹介したこと以外のことで疑問が解決できないという場合や、運営されているショップのマーティングや集客にお悩みの場合は、当社株式会社NDPマーケティングまでお問い合わせください。当社はShopifyの知識やノウハウのみならず、コンサルティングも実施することが可能です。こちらの問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。