Shopifyで販売している商品を実店舗や期間限定のポップアップストアで販売したい場合、売上や在庫管理をオンラインと一緒にできるとラクだと考える方もいるでしょう。管理が分かれると手間も倍になり、業務が増えてしまいます。
そんなときに活用すべきなのが「Shopify POS」です。Shopify POSなら一元管理が可能です。
そこで今回は、Shopify POSについて、メリットやデメリットを含めて解説します。すでにShopifyのストアで販売されている方や、これからShopifyの導入を検討されている人は、ぜひ参考にしてください。
POSとは
Shopify POSを解説する前に、そもそもPOSとは何かについて整理しておきましょう。POSとは、販売時点情報管理(Point Of Sale、略してPOS)のことで、 個々の商品がいつ、いくらで、何個売れたかの情報を収集し管理することを言います。市場調査を行うためには重要で、マーケティングには欠かせません。
例えば、コンビニの場合はレジにPOSシステムが導入されているPOSレジが活用されており、その場で販売管理や在庫管理をできるのと同時に「年代」「性別」「販売時間」などの情報も管理することで、マーケティングに役立てています。
オンラインの場合は、最初から販売履歴やお客様情報が最初から蓄積されていきます。しかし、オフラインの場合は、何か用意しなければ売上もわからず、在庫管理などができません。POSレジを利用すれば問題ありませんが、導入には多額の費用が発生します。
そのため、特にポップアップストアで使いたいとなると、わざわざ期間限定のショップのために多額の費用を払って導入することはできませんよね。そこで、こうした課題を解決するのがShopifyが提供するPOSアプリです。
Shopify POSとは?
Shopify POSはiOSとAndroid機種向けのPOSアプリケーションで、Shopifyストアと連携できます。つまり、Shopifyで運営するオンラインストアと実店舗やポップアップストアなどのオフライン販売をつなぐシステムです。
Shopifyオンラインストアで商品登録や在庫管理、販売している商品は、そのままオフラインで販売できます。そして、実際に売れたらその情報をPOSアプリに計上し、売上金額もShopifyに記録します。さらに、在庫も自動的に売れた数が減るため、オンラインだろうがオフラインだろうが一つのPOSシステムで一元管理できるのです。
Shopify POSはiOSとAndroidのデバイスに対応しているため、手持ちのスマホやタブレット端末がPOSシステム端末として利用できます。そのため、個人オーナーや小規模事業者や、期間限定のショップを開く場合など、Shopify POSがあればPOSレジなどがなくても、売上や在庫管理の心配はありません。
Shopify POSの使い方
それでは、Shopify POSの使い方について説明しましょう。手順は次のとおりです。
- 基本的な管理設定
- アプリのダウンロード
- 商品追加と分類分け
- 税金の設定
- POSハードウェアの設定
ステップ①:基本設定を設定する
商品の追加や支払いの設定を始める前に、管理設定を行ってください。
まず、実店舗で販売する場合は、Shopify POSが住んでいる国に準拠しているか、法律で確認しましょう。すでに日本でも実績があるため、大きな問題はないはずですが、念のため確認してください。
次に、初期設定を行いストアのアドレスや、メールアドレス、およびストアのその他の設定を最新の状態にしましょう。そして、アカウントを管理する場所を確認し、請求情報にアクセスします。
何名かスタッフがいる場合は、スタッフアカウントを追加して各スタッフに個人ログインアカウントを作り、アカウントの機密情報すべてを安全に保ってください。
なお、スタッフが管理画面にアクセスできないようにすることも可能です。この場合、POSのスタッフPINをスタッフ用に作成すれば、スタッフはShopify POSのみにアクセスでき、管理画面にアクセスすることはできません。
ステップ②:Shopify POSアプリをダウンロードする
次に、Shopify POSをダウンロードしてください。ダウンロードはiOSとAndroidのデバイスに対応しているので、それぞれのサイトからダウンロードしましょう。
なお、バージョンによってはサポートしていない場合もあるため、注意してください。
- iPhone iOS: 11.4以降を搭載するiPhone 5s以降
- iPad Air: iOS 11.4以降を搭載する第2世代以降
- iPad: iOS 11.4以降を搭載する第5世代以降
- iPad mini: iOS 11.4以降を搭載する第2世代以降
- iPad Pro: iOS 11.4以降を搭載するiPad Proのすべてのモデル
- Android: バージョン5.0 (Lollipop) 以上を搭載するAndroid端末
ダウンロード後、アプリで行える概要を把握し、アプリの各画面の機能を確認しましょう。そして、使用するPOSデバイスで、基本的なShopify POSアプリの設定を行ってください。
ステップ③:商品を追加し分類する
続いて商品の追加と分類です。次の流れで追加してください。なお、登録時には注意が必要で、POSデバイスが読み込める商品やバリエーションの数には限界があります。
- 管理画面またはShopify POSアプリからストアで販売する商品を追加する。POSデバイスで商品を簡単に探せるように画像も追加する。
- 商品の税金を設定する。
- 商品をカテゴリーに分類する場合は、コレクションを作成する。
- POSに公開状況を設定する
- Shopify POSがあるロケーションで商品の在庫を保管する。
- 商品の在庫と仕入れ状況を把握し、ストア内の商品を追跡できるようにする。
ステップ④:税を設定する
税金は、ストアの所在地によって税率が変わります。必ずShopifyの税金設定プロセスを事前確認しましょう。日本国内であれば、10%を入力してください(2020年9月現在)。
税金の設定は、まずShopify POSにストアの所在地を設定します。そして、所在地に応じた税金を設定しましょう。
なお、商品によっては、独自の税法や特定の商品コレクションに応じて税金を手動で調整する必要がある場合もあるでしょう。そんなときは、簡単に設定可能です。
例えば、テイクアウト商品の場合、軽減税率が適用されるため、他の商品と税率が変わってしまいますよね。その場合は、「税金」設定画面の下部にある「税の優先適用を追加する」をクリックし、事前に作成しておいた軽減税率を設定したいコレクションを選択してから、税率を8%と入力するだけです。
商品に対する税金を設定するときは、年間の税金管理方法を検討すると良いでしょう。税金の管理にどのシステムを使用すればよいかわからない場合は、Shopifyアプリストアの会計アプリをおすすめします。
ステップ⑤:POSハードウェアを設定する
もし自分たちでPOSチェックアウト用のハードウェアを必要とする場合は、まずShopify POSでサポートされているかを確認してください。サポートされているカードリーダーは、こちらで確認してください。
なお、カードリーダーを利用すれば、iPhoneまたはiPadでのクレジットカード決済を受け付けられます。また、使用時にはWi-Fi環境が必要となる場合もあるので、注意しましょう。
Shopify POSを利用するメリット
Shopify POSを利用するメリットには次のものがあります。詳しく解説していきましょう。
- 実店舗の売上とECサイトの売上の連携ができる
- バーコードの処理ができる
- 在庫管理が簡単にできる
- アプリのインストールだけで完了する
メリット①:実店舗の売上とECサイトの売上の連携ができる
Shopify POSを利用すると、オンラインとオフラインの売上管理を連携できるため、場所を選ばずに販売展開が可能になります。販売場所によって、売上や在庫管理の準備をすることなくすべて一元管理できるため、余計な手間を省略できます。そして、自分自身は、商品の魅力をいかに伝えるかに集中できます。
Shopifyのシステム一つで「オンラインストア」「SNS」「Google」「外部サイト」「実店舗」と多岐にわたる運営が可能ですが、従来はそれぞれ別のシステムを使って販売や管理を行わなくてはなりませんでした。しかし、Shopify POSによってすべてを一つにまとめ、まさにオールインワンパッケージと言っても良い仕組みを生み出せます。
こうすることで、わざわざ販売チャネルごとに構築する手間がなくなり、大きな工数削減と業務効率アップを実現できます。これがShopifyの大きな魅力でもあるため、利用しないのはもったいないです。
メリット②:バーコードの処理ができる
Shopify POSアプリなら、スマホやタブレットのカメラを使ってバーコードの読み取りが可能です。事前に商品情報の大元となるバーコード(JANコード)をShopify管理画面から登録しておけば、あとは販売時に商品のバーコードを読み取るだけで、商品内容と金額を表示できます。
ただし、クレジットカード決済の場合は外部端末が別で必要です。Shopify POSアプリ自体に決済機能はないため、オフラインの場合は現金で受け取りその場で処理可能ですが、クレジットカード決済に対応する場合は、カード決済ができる端末を契約しなくてはならないので注意してください。
メリット③:在庫管理が簡単にできる
Shopify POSは、売上だけでなく在庫管理も可能です。オンラインとオフラインの情報を一元管理できるため、例えば実店舗で販売されたものも自動で在庫数が減るので、オフラインのものをわざわざ手入力する工数を削減できます。
実店舗でたくさんの注文が入った場合、在庫連動していないとその後でオンラインでも同じように大量の注文が入るかもしれません。こうなると、オンラインで注文したお客様にキャンセル依頼をしなくてはなりません。ストアとしての評判も落としますし、せっかくの売り上げも減らしてしまいます。
すべての在庫管理を一元管理できれば、このような心配はありません。在庫がなくなれば補充または販売終了などのアナウンスをすれば良いので、運営もラクになります。
メリット④:アプリのインストールだけで完了する
Shopify POSは、アプリをインストールするだけで完了します。インストール後に自分自身で登録や設定をすれば、すぐに利用できる手軽さもメリットと言えるでしょう。
準備項目が少ないのですぐに導入できますし、Shopifyの各プランでPOSアプリを利用できるため、新たな契約も必要としません。Shopifyのベーシックプランであれば、追加費用も掛からず利用できます。
また、iOSやAndroidで使えるため、管理用に新たに端末を準備する必要もありません。アプリのインストールだけで完結し、オンラインとオフライン双方の一元管理を実現するShopify POSがあれば、マーケティングも含めたストア運営が非常に効率良くできるでしょう。
Shopify POSを利用するデメリット
それでは逆にShopify POSを利用するデメリットは、次のものがあります。詳しくお伝えしましょう。
- クレジットカードの利用には端末が必要
- Shopifyの契約が必要
デメリット①:クレジットカードの利用には端末が必要
クレジットカード決済の場合は、外部端末を別で準備しなくては利用できません。Shopify POSアプリは、あくまでも売上や在庫管理を連携するためのもので、これ自体に決済機能はないからです。そのため、クレジットカード決済を行いたい場合は、別途外部端末を契約してください。
また、Shopifyデフォルトの端末も存在しますが、まだ日本では使えません。そのため、サードパーティの外部ハードウェアとなります。楽天ペイやSquare(スクエア)、Airペイ(エアペイ)などのモバイル端末決済のサービスをShopify POSと併用して利用するのがおすすめです。
デメリット②:Shopifyの契約が必要
Shopify POSは、オンラインとオフラインの売上や在庫を一元管理できます。しかし、これはShopifyのアカウントがなくては使えません。アカウントなしの場合は、14日間の無料トライアルは利用できます。
これは、ShopifyストアがShopify POSのバックエンドとなっているため、オンライン販売をしたくなくてもShopifyのアカウントを作らなくてはなりません。
管理画面の顧客情報やShopifyアカウント、商品在庫などはどのブラウザからもアクセスできますが、すべてストアで管理されており、さらにShopify POSでストア内の設定が必要です。Shopifyのストアを前提に作られたものなので、Shopifyと契約したくなくてもPOSアプリを使う場合は必須となることには注意してください。
まとめ
Shopify POSについて解説してきました。オンラインだけでなくオフラインも含んだ一元管理できるPOSシステムなので、双方での販売を考えている方には、とても便利なアプリとなるでしょう。
これまでは、販売チャネルごとに構築しなければならなかった売上や在庫管理のシステムは、Shopify POSによって簡単に、そして効率良く使えます。商品を販売していくには、どうしてもPOSシステムは切り離せません。これからECストアの運営を考えている方は、ShopifyであればPOSシステムの心配もないので、導入を検討されてはいかがでしょうか?
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