
Shopify Japanは、2021年に発表した日本国内の成長率は、2020年と比較してなんと324%増加という大きな成長となっています。2020年から、社会全体がオンライン化へと一気に進むことになったのは記憶に新しいでしょう。
Shopify(ショッピファイ)は海外発祥のサービスですが、日本でも年を重ねるごとに認知度を高めており、オリオンビールやタイガー魔法瓶、タンスのゲン本店などの有名店がShopifyサイトとしてオープンおよびリニューアルし、売り上げを伸ばしています。
Shopifyは低コストで導入が可能であり、カスタマイズも豊富で拡張性が高いのも人気のポイントですので、企業だけでなく、個人でECサイトを運営する方など、幅広く利用されています。
そのような理由から、Shopifyの利用を検討し始めると、実際にどのようなECサイトができるのか?そのイメージがしにくいかもしれません。しかし、実際にShopifyの利用を検討すると次のような悩みが出てくるのではないでしょうか?
「どんなECサイトが完成するのか、完成イメージを知りたい」「どんな機能がよく利用されているのか?」「参考になるECサイトを見たい!」そういった方のために、国内外のShopify導入事例と、成功しているサイトの特徴を解説します。
Contents
Shopify(ショッピファイ)が注目される理由
Shopify(ショッピファイ)は、2004年にカナダで創業したベンチャー企業です。特徴を数字で見てみましょう。
- 世界196ヶ国中、175ヶ国で使われている。
- ShopifyによるECサイトの数は100万以上にのぼる。
- 世界中のWebサイトの約3%がShopify。
2017年には日本法人も設立され、日本国内でも一気に広がりを見せています。Shopifyが注目される大きな理由には次のようなものがあります。
導入しやすいから
Shopifyは、ECサイトを作るために必要な決済システムや商品管理機能など、ECサイトに必要な基本的な機能が備っているECサイトのためのプラットフォームです。そのため、商品情報と画像だけを用意してShopifyに登録するだけでも、ECサイトの構築と運営が可能となるという抜群の導入のしやすさが大きな魅力です。
また、初期費用も不要で、利用料金は月額29ドル(約3,200円)からという手軽さでリスクが低いこともポイントです。
集客機能が充実しているから
Shopifyは、InstagramやFacebookなどのSNSとの連携も容易に行うことができます。そのため、SNSからの集客が可能です。
他にも、管理画面から広告やメルマガも管理・運用できるため、マーケティングをしっかりと意識したECサイト構築ができます。基本的なSEOの設定もでき、ただECサイトを作るだけでなく、商品を売るための機能が揃ったプラットフォームです。
自社ブランドを自由に表現できるから
Amazonや楽天などの大手ECモールへ出店する場合、決められたフォーマットの中でしか商品の魅力やブランドの表現ができません。
Amazonや楽天のようなモールには販売力の強さといったメリットもありますが、ブランド力が強くても自身のブランドや良さをアピールする事ができず、数ある大型ショッピングモールの中の一つにしかなり得ません。そのため、近年では独自のショッピングサイトに力を入れて活用する企業が増えています。
Shopifyは、世界基準のおしゃれなテンプレートを利用できますし、サイトのデザインを自由に設計することもできます。さらに、aboutページなどを制作するなど、ブランドを思う存分に表現できる優れたプラットフォームとして注目されています。
Shopify(ショッピファイ)の参考サイト:日本企業
それでは、日本企業のShopify(ショッピファイ)導入事例から解説していきましょう。みなさんもご存知の企業も、独自商品のネット販売にShopifyを導入していることがわかります。
オリオンビール(お酒)
参照元:オリオンビール
オリオンビールは、本拠地が沖縄県です。沖縄といえばオリオンビールといわれるほど、沖縄では定番の日本のビールメーカーです。
オリオンビールはシェアでは日本国内第5位の大手ビールメーカーで、公式通販サイトのリニューアルの際に、システム面において拡張性の高さからShopifyを導入しました。
実際にShopifyのシステムにより配送部門との連携がスムーズになり、そして密に連携できるように配送アプリを導入した結果、それまで弱かった受注から出荷までのプロセスがスムーズになり、全国的な知名度を一気に上げることに成功しました。
また、贈り物に最適な沖縄のクラフトビールや沖縄ならではのお酒の紹介もしており、こういったギフト商品を購入する際の決済に関する注意事項を記載することで、ユーザーに対してサイト全体の利便性を向上させています。
また、Shopifyを導入してリニューアルを行った後、「75BEER」という人気商品を生み出すことにも成功しています。
ゴーゴーカレー(レトルトカレー)
参照元:ゴーゴーカレー
日本中に金沢カレーブームを巻き起こしたゴーゴーカレー。ゴーゴーカレーは、カレー店のチェーン展開だけでなく、専門商社としてカレーの商品開発や卸、販売までを幅広く手がけ、日本のみならず世界中で活躍することを目指して美味しいカレーを提供しています。
ゴーゴーカレーが商社として越境ECをする際においても、Shopifyが重要な役割を担っています。サイト自体はシンプルで商品の購入を行いやすく、PayPalやGoogle Payといった幅広い支払い方法にも対応できているのもShopifyならではといえます。
サイト制作においてはスピード感を重視し、最初は必要最低限の機能のみの実装から始め、その後、決済機能の充実やコンテンツの追加を行うShopifyならではの制作方法で現在のサイトとなっています。
また、ゴーゴーカレーの独自ドメインのECサイトの特徴は、レトルトカレーの大量注文に対応している点にあります。50食以上のような大量注文は、Amazonや楽天市場といったモール型のECサイトでは対応しづらいため、ゴーゴーカレーのECサイトでのみ受け付けることでモールとの差別化を図り、売り上げアップとブランディングを実現しています。
Mr.CHEESECAKE(チーズケーキ)
チーズケーキ専門店のMr. CHEESECAKE では「世界一じゃなく、あなたの人生最高に。」という想いのこもったチーズケーキを提供しています。サイトにはTopicsとしてCMSを活用し、ユーザーにさまざまな情報をわかりやすく伝えられるように工夫されています。
原材料が一目でわかる写真を使ったり、解凍の状態による味や食感の違いなどを商品ページで画像を使ったりして紹介しており、ユーザー目線に沿ったコンテンツを提供しているサイトだといえます。冷凍チーズケーキとして販売数も限られていることから、SNSでは幻のチーズケーキともいわれて人気です。
土屋鞄製造所(鞄)
参照元:土屋鞄製造所
ランドセル職人として始まった土屋鞄製造所(TSUCHIYA KABAN)は、メイドインジャパンの革製品のブランドです。ランドセル以外にも、財布、バッグ、また、革製品以外にもステーショナリーなどの商品展開をしています。
aboutページも丁寧に作られ、日本の職人のものづくりへの想いが伝わってきます。
スズキのECモール「S-MALL」
参照元:S-MALL
スズキにはたくさんの熱烈なファンがいますが、こうした熱いファンにずっとスズキを好きであり続けていただくために立ち上げられた、スズキ公式ECサイト。ユーザーとのコミュニケーションの場を増やし、そこで得られた情報を商品企画にフィードバックする。言わば共創する事も目的としたECサイトになっています。
小さく始めるスモールスタートが実現可能なShopifyでスピーディーに開発・改良されていくサイトはスズキのバイク作りにも共通しているのかもしれません。自由度が高いという点もスズキがShopifyを評価するポイントとなっています。
このShopifyによるECサイトを活用し、スズキは人気のバイク「KATANA」の限定色の予約サイトとして「S-MALL」を利用しました。
アンケートの中で人気が高かった「RED」を特別色として限定100台を販売。お客様は「S-MALL」上で、0円で予約申込みを行い、予約後に販売店に行き決済をするという流れで販売しました。
この限定100台の予約はわずか2分で完売。ユーザーとのコミュニケーションを事前に取り、ファンと自社の商品を大事にした結果だといえるでしょう。
Shopify(ショッピファイ)の参考サイト:海外企業
次に、海外企業のShopify(ショッピファイ)導入事例を紹介していきます。
元々がカナダ発祥のShopifyは、多くの国で人気のプラットフォームです。保守的な日本では、海外での評価にまだ追いついていないのも現状です。
Redbull(レッドブル)
参照元:Redbull(レッドブル)
みなさんご存知、全世界で人気のエナジードリンクの「Red Bull(レッドブル)」。「Red Bull(レッドブル)」が運営するファッション商品を販売するECサイトは、Shopifyで作られています。
サイトではアパレルアイテムなどを取り扱っており、Shopifyのプラットフォームを利用してグローバル展開をしている有名ブランドの代表です。「Red Bull(レッドブル)」の公式ECサイトで購入をすると、大胆な商品レコメンドが表示される機能を追加しており、お客様の購入におけるライフタイムバリューを向上させています。
X-girl
参照元:X-girl
ニューヨークで創立したストリート系のレディスファッションブランド「X-girl(エックスガール)」のECサイトです。商品の詳細ページにはカラーバリエーションが表示される機能を追加して、ユーザーが探し求めている商品を見つけやすいように、サイトの設計にも工夫が見られます。
また、決済方法も多数に対応できており、ユーザーの離脱を防いでコンバージョンアップにつなげています。カラフルでポップなデザインのECサイトで、ブランドの世界観を表現しています。
TOGA
参照元:TOGA
ハイブランドで知られる「TOGA(トーガ)」のECサイトも、Shopifyで作られています。
印象的なデザインがShopifyのECサイトとマッチしてファンの心をつかんでいることも特徴的。世界基準のデザインのクオリティーの高さが魅力のサイトに仕上がっています。
SNSはtwitter・Instagram・Facebookとしっかりと連携しており、お気に入りリストが作成できる機能などをアプリによって実装しています。洋服のデザインがわかりやすいような商品詳細ページのデザインが実現できるのも、Shopifyならではです。
Shopify(ショッピファイ)の参考サイト:公式で紹介されている成功事例
Shopify(ショッピファイ)の公式サイトでも、導入事例として紹介されているサイトをお伝えしていきましょう。個人のお店の成功事例も見ていくことで、Shopify導入サイトのバリエーションの豊富さが見てとれるのではないでしょうか。
COHINA
参照元:COHINA
COHINAは、「身長が低くたって、綺麗に見られたい!」という小柄な女性の願いを叶える事をコンセプトに、150cm前後の小柄な女性のための洋服を扱っているブランドです。Sサイズ女子のためのファッションブランドとして、ペルソナ設定からのブランディングに成功しています。
150cm前後のサイズの服から自分に合う好きなお洋服を選ぶことができ、商品ページからボタン一つでwishリスト(お気に入りリスト)を作成できる機能も実装されています。これにより、顧客満足度の高いサイト設計になっています。
このwishリストはお客様の利便性を高めるだけでなく、wishリストに基づいたリマインダーメールを送れたり、割引コードを送信してお客さんを再訪問してもらったりといったマーケティング施策も可能にします。
instagram(インスタグラム)との連携機能も追加しており、サイト内でinstagramのフィード投稿を表示しています。これにより、ECサイトのコンテンツを最新の状態に保つことができます。
このように、基本的で実用的な拡張機能を忠実に追加して構成されているサイトとなっています。
Beer OWLE
参照元:Beer OWLE
クラフトビールの街として知られる静岡に2019年にオープンしたお店のBeer OWLE。クラフトビール専門の酒屋さんとして地域の人々の人気を集めているお店です。
Shopifyのサイトはオーナーご自身で作り上げ、商品ラインアップはカナダの輸入クラフトビールから地元のビールまで、実店舗と同様に様々なビールが取り揃えられています。「静岡の人々にもっとクラフトビールを身近に感じてもらいたい」というお店の思いが伝わってくるサイトです。
Shopify POSも導入しており、ECサイトと実店舗のデータ連携をシームレスに行うことで、効率の良い店舗運営をしています。
AKEBONO TEA
参照元:AKEBONO TEA
「日本茶を、世界中で当たり前の存在に。」日本茶を日本国内だけではなく、海外の人にも広めたいという思いから誕生した新しい形の日本茶のお店「AKEBONO TEA」。クラウドファンディングからはじまった商品は、各メディアにも取り上げられ注目を集めています。
amirisu
参照元:amirisu
編み物の魅力をたくさんの人に届ける「amirisu」は、日本唯一の編み物専門のオンラインマガジンです。日英のオンラインショップと実店舗を同時にスタートさせました。
販売には多様なチャネルを使って、たくさんのお客様に商品を見てもらえるようにしており「より多くの方に編み物の魅力を伝えたい」というamirisuのイメージするサイトに仕上げています。さらに京都と東京にオープンさせた実店舗の方も大盛況です。
amirisuはオンラインショップをはじめてから2年くらいは、Shopify以外のさまざまなシステムを使って模索しました。その後、Shopify導入を決めた理由は、商品の色数や種類が多く複雑な場合にも適切なカテゴリー分けができたからだそうです。
こういったショップでは、お客様に適切に商品にたどり着いてもらうために、カテゴリー分けがとても重要です。それを叶えたのがShopifyでした。
Shopify(ショッピファイ)の参考サイトから見る「売れるECサイト」の特徴
日本から世界までさまざまなShopify(ショッピファイ)の導入事例を紹介してきましたが、成功しているサイトには共通点が見つけられます。その特徴を知り、自分のサイトに活かすことができれば、成功への近道となるでしょう。
- 集客に力を入れている
- サイトの独自性・機能性が高い
集客に力を入れている
Shopifyは、ノーコードでも比較的簡単にデザイン性・機能性の高いECサイトを構築できますが、ECサイトを構築しただけでは顧客は訪れてくれません。実店舗での集客を考えてみればわかるかと思いますが、よほどの好立地でライバルが少なく、ニーズが高いという状況でなければ、ただお店を開けて待っているだけではお客様を呼び込むことはできません。
ECサイトでも同じことがいえます。有名人がオープンさせたサイトであれば、自然にお客様が集まってくるかもしれませんが、広大なインターネットの世界では、実店舗以上に集客をしなければ誰も訪れないということを肝に銘じておきましょう。
良い商品とECサイトを準備したとしても、集客に力を入れなければ、ストアに訪れてすらもらえないのです。ShopifyはSNSとの連携も簡単なので、SNSにも力を入れたり、メールマーケティングや広告を運用なども活用したりしていきましょう。
サイトの独自性・機能性が高い
Shopifyは、サイトのデザイン・機能を細かくカスタマイズすることができます。凝ったサイトデザインのカスタマイズには、コーディングの知識が必要になりますが、カスタマイズすることでサイトのブランディングにもつながるなどメリットがあります。
また、機能の拡張性が高く、あなたのサイトに必要な機能のほとんどはアプリで実装できるでしょう。機能を追加してユーザビリティを高めていくことで、ストレスの少ないストアにしましょう。
まとめ
ここまでお伝えしたような複数の事例を参考にすることで、実際にShopify(ショッピファイ)を導入してECサイトを構築する際のヒントを得られます。質の良いECサイトを構築できれば、ユーザーにとっては使いやすく、企業にとっては売上が向上するという、お互いにとってメリットとなります。
実際に紹介したサイトを訪問してみてください。デザイン面でも機能面でも、参考になるところが見つかるでしょう。
さらに、商品の魅力をどのように伝えているか、実際の買い物はスムーズかなどをチェックしていくと、ご自身のサイトに必要なものが見えてきます。これらのShopifyの事例を基に、ユーザーに求められるECサイトを構築しましょう。
また、ShopifyのECサイトを成功させるには、制作するだけでなく、広告運用などマーケティングの部分も重要です。ShopifyでECサイトの新規制作・リニューアルをお考えの方や、Web広告などによるプロモーションを行いたいとお考えの方は、こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。
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