個人のネットショップ

今日、世の中全体的に副業や複業(パラレルワーク)について寛容になってきている中、収入源の一つとして自分で仕入れたものをインターネット上で販売したいと考える方が多くなってきています。そのため、CMやメディアでも個人で簡単にできる「ネットショップ」のサービスを目にする機会も増えています。

しかし、いざネットショップを始めたいとは思っても、次のように感じてはいませんか?

  • サービスがたくさんあってどれを選べば良いのかわからない
  • Amazonや楽天くらいしか知らないけど本当に始められるのか不安
  • メルカリやヤフオクではなくて自分でお店を持ちたい

この記事では、初心者の方がネットショップを立ち上げるための必要な準備や、おすすめのサービスを紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

ネットショップを開設する前の準備

ネットショップを開設する前の準備

インターネット上でモノを販売するためには、ネットショップを開設するのはもちろん必要です。しかし、何も考えずに闇雲に立ち上げるだけでは、集客ができなかったり、ユーザーとのトラブルが発生する可能性もあります。

ネットショップは立ち上げて終わりではなく、商品を販売してからユーザーに届け、代金を回収するまで一連の流れがあります。その流れがスムーズになるよう、ここでは必要最低限押さえておきたいポイントを紹介します。順番にチェックしていきましょう。

ステップ①:ショップのテーマ決め

ショップ構築前の「テーマ決め」が一番重要になってくると言っても過言ではありません。ショップのテーマを決めずに展開してしまうと、ショップ自体に統一感がなくユーザーに興味を持ってもらうことも難しくなってしまいます。

そのため、せっかくショップにユーザーが来てもすぐに離脱してしまったりリピーターも付きづらくなります。また、モール型である「Amazon」や「楽天」(後ほど紹介します)、「メルカリ」のようなすでに多くのユーザーが一般的に使うサービスとの競争にどうしても負けてしまいます。

したがって、次の項目は事前に調査しておくことが必須です。怠らないようにしてください。

  • どんなユーザー(年齢・性別・居住地)をターゲットにするか
  • 商品はあなたが決めたテーマに沿ったものであり統一感があるか
  • ニーズがきちんとあるか
ポイント

テーマを決める際に上記の分析はとても重要です。加えて、例えばアクセサリーであれば、ご自身にしかできないユニークなデザインであったり、個人であるからこそ企業や他の人には真似できない「自身の強み」も加えられるとブランディング向上にもつながります。

ステップ②:商品の準備

ショップのテーマが決まったら、次は商品の準備です。商品がないことには販売することができません。商品は次のような方法で調達が可能ですので、ご自身が決めたショップのテーマに沿った商品を用意しましょう。

  • 海外などから安く仕入れる
  • 自分でオリジナルの作品を作る
  • (シャツなどへのオリジナルプリントなど)すでにあるものに手を加える

商品を掲載するにあたり、スペックや商品の魅力を伝える商品説明文は重要です。しかし、インターネットの特性上、手にとって現物を確認できないぶん、ユーザーにとって視覚的に購買意欲を高めるような写真(商品画像)も必要です。近年スマホの画質が上がってきているため、初心者でも綺麗な写真を撮り加工することが可能です。しかし、資金に余裕がある場合はプロの写真家にお願いすることもおすすめです。

また、商品数にバリエーションがあると、ユーザーがサイトを回遊してくれるため、ショップ自体の評価が高くなりやすいですよ。

ポイント

本記事では有形商材をベースに記載していますが、「商品」というと形があるものだけではなく、「音楽」や「情報」といったデジタルコンテンツも十分に商品になり得ます。

ステップ③:配送、梱包準備

商品が売れたら、その商品をユーザーに届けるためには梱包、配送作業が必要です。商品にもよりますが、配送途中に商品が傷ついてしまったなどのトラブルを避けるためにも、緩衝材や梱包材などの準備が前もって必要です。

例えば、次のようなものが挙げられます。ご自身が扱う商材によって異なりますが、基本はこの6つを押さえておけば問題ないでしょう。

  • 気泡緩衝材
  • 段ボール
  • ガムテープ
  • 割れ物などを包むチラシや新聞紙
  • 封筒
  • 宅配用ビニール袋

また、副業でネットショップを開設して運営していく場合は、発送のタイミングが限られることでしょう。そういった場合は、立ち上げたショップに梱包についての記載(ルール)も記載しておくと安心です。

ステップ④:送料の設定

送料について購入者負担であるネットショップを多く目にすると思いますが、送料についてもあらかじめ設定し明記しておかなければ後のトラブルにもなりかねません。ヤマトや日本郵便の公式サイトでは、各発送形態による送料が記載されています。事前にチェックし明記しておきましょう。

ユーザーからすると、送料は意外と高くついてしまうと考える方も少なくありません。「○○円以上の購入で送料無料」といったディスカウント特典もあるとユーザーの購買体験につながりやすくなります。もし、送料の金額で迷ってしまう場合は、ご自身のショップのテーマと似たショップの送料を参考にすることをおすすめします。

ステップ⑤:法務関連の記載

法務関連は、ネットショップを運営していく上でユーザーはもちろん、ご自身をトラブルから守るために記載が必須なものです。代表的なものには次のようなものがあります。

  • 特定商取引法に基づく表記
  • プライバシーポリシー(個人情報の取り扱いについて)
  • 利用規約

これらのひな型は、GoogleやYahoo!といった検索エンジンで検索すると数多く出てくるため、必ず押さえておきましょう。特に、「特定商取引法に基づく表記」については、次の項目を記載しておかなければ罰せられる可能性もあるため注意が必要です。

  • 運営者情報の開示
  • 決済タイミング(支払い時期)や決済方法
  • 配送についてや商品の到着時期
  • 返品やキャンセルに関する記載
  • 手数料など商品代金や送料など以外にかかる費用の記載

ネットショップのプラットフォームの種類

ネットショップ開設前の準備について紹介してきました。一口に「ネットショップ」と言ってもプラットフォーム(サービス)の種類はさまざまであり、個人の方の開設に適しているものとそうでないものもあります。適していないものを選択してしまうと、開設費用やランニングコストが想像以上にかかってしまうため、どういったプラットフォームがあるのかを知識だけでも持っておくことが大切です。

ネットショップのプラットフォームの種類は、大きく次の2種類に分けられます。

  • モール型EC
  • 自社EC(独自ドメイン)

また、「自社EC」は次の2つに分けられます。

  • オープンソース型
  • ASP(Application Service Provider)型

モール型

モール型とは、「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」のような、複数のショップが一つのサイトにまとまっているサイトを指します。例えば、Amazonで何か商品を買う際に、同じ商品でも出荷元や販売元が違うことをよく目にするかと思います。Web上のデパートと考えるとわかりやすいかもしれません。

このモール型は、すでにビッグブランドが展開しているため、集客が簡単にできるという点がメリットです。しかし、次のようなデメリットがあるため、初心者の方にはハードルが高いかもしれません。

  • 競争が激しい
  • 出店時・販売時の手数料が高い
  • 自身のショップのブランド認知がされにくい

自社EC(独自ドメイン)

自社ECとは(独自ドメイン)ご自身が所有できるネットショップを指し、独自ドメインとは「https://〇〇」というURLの〇〇の部分にあたります。ドメインは同じものが存在しないため、完全にオリジナルのネットショップを構築することができます。

あなたが扱う商材が他のショップでは扱っていないようなニッチなものであったり、あなたしか作れない商品を扱う場合はそれだけで差別化が図れるので競争も比較的おきません。

また、サイト内のデザインや設定なども随時変更できるので変化に対応しやすく、一度ショップで購入してくれたユーザーは「顧客リスト」として蓄積されていくので、マーケティング目線でもメリットがあります。

そして、この自社EC(独自ドメイン)は、先ほど記載したように、次の2つに分かれます。

  • オープンソース型
  • ASP型

オープンソース型

オープンソース型は、ゼロからサイトを構築していく方法であり、高いコーディングの知識(HTML、CSSなど)が必要となる上、デザイン構築などで時間や費用などもかなりかかってしまいます。種類としては「EC-CUBE」「magento」といったのオープンソース型の種類があります。

初心者の方でも、余剰資金がある場合には開発会社に構築を依頼することで、このオープンソース型でのEC構築が可能です。時間と費用のコストがかかるぶん、完全にオリジナルで自由度の高いネットショップを構築することができるため、企業のネットショップでも多く利用されています。

【初心者の個人におすすめ】ASP型・SaaS型

ASP型とは、「Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダ)」の略であり、サイト構築に関わる専門的な知識やコーディングを必要とせず、初心者でも手軽にネットショップを構築することができます。そして、ネットショップを構築するためのシステムを「ASPカート」と呼びます。

また、ASP型と似ているものとしてSaaS型というものもあります。これは、インターネットを通して提供されているサービス(クラウド)を使ってサイトを構築する手法です(※)。

ASP型やSaaS型の利用のメリットには、次のようなことが挙げられます。

  • サーバーを用意や運用保守の必要がない
  • 初期費用が無料〜数千円と安い
  • アップデートや管理はサービスの提供側で行ってくれる

そのぶん、高度なカスタマイズができないという点がデメリットとして挙げられます。初心者の方が個人でネットショップを開設するのには、このASP型やSaaS型を利用することをおすすめします。

ポイント

「ドメインやサーバーって何?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。「ドメイン:住所、サーバー:土地」と覚えるとわかりやすいかもしれません。ネットショップ構築にはいずれも必要なものです。

※ASP型とSaaS型は厳密には管理顧客数や対象の違いで意味が異なりますが、初心者の方は特に気にする必要はありません。

個人のネットショップ運営はASP型やSaaS型がおすすめ

さきほど、初心者の個人の方がネットショップを運営するのには「ASP型やSaaS型がおすすめ」とお伝えしましたが、そのプラットフォームにもさまざまな種類があります。ここでは、ASP型やSaaS型の6つの代表的なプラットフォームの特徴を紹介していきます。

Shopify(ショッピファイ)

Shopify

Shopify(ショッピファイ)は、日本に2017年に上陸したカナダ発のプラットフォームであり、全世界で120万店舗、流通額は17兆円もの実績を誇っています。最近では個人だけではなく日本の企業もShopifyを導入するケースが増えてきています。

Shopifyのメリットは次の3点です。

  • 最低月額29ドルからショップを開設できる
  • 商品数や商品画像の制限がない
  • 決済手段が豊富

また、デメリットは次の3点だと言えるでしょう。

  • ネットショップは必要最低限の機能しかない(アプリの導入でカバーできる)
  • 日本語対応しているがまだまだ英語の部分が多い
  • 高度なカスタマイズにはコーディングの知識が必要

多言語・多通貨に対応しているため、「越境EC」を始めたい方はShopifyを強くオススメします。

BASE(ベイス)

BASE

画像引用元:BASE

BASEは、BASE株式会社が展開しているプラットフォームです。2020年現在ショップ展開数は110万店舗を突破し、無料でショップ開設をすることができることも大きな特徴です。

追加で欲しい機能についてはBASE公式のアプリで拡張可能。「BASEかんたん決済」を設定することで、クレジットカードはもちろんキャリア決済やコンビニ払いなどの決済方法を適用することができます。

BASEのメリットは次の3点です。

  • 初期費用が無料かつ無料の拡張機能が豊富
  • 決済方法の導入が簡単
  • テンプレートテーマ(サイトの基本デザイン)が安価

一方、デメリットには次の2点があります。

  • すべての決済方法で購入代金3.6%+40円の手数料+サービス手数料がかかる
  • 高度なカスタマイズにはコーディングの知識が必要

手数料は売れば売るほど負担がかさんでしまうため、将来的にショップを拡大していき売上をさらに伸ばしたいと考えている方には不向きです。途中でショップ移行などの懸念が出てくる可能性があるからです。

その為、まずはネットショップを開設する体験をしてみたい方やネットショップ運営の感覚を覚えたい方にオススメです。

Wix

Wix

画像引用元:Wix

Wixはイスラエル発祥で、世界90ヶ国、1億8,000万人以上のユーザーが利用しています。一般的なホームページ制作からブログ、ネットショップまで手掛けることができるプラットフォームです。YouTubeの広告などでも見たことがある方もいるでしょう。

Wixには「無料プラン」と「有料プラン」があります。最大でもホームページは月額2,500円、ECストア構築は3,800円で運営できるため、初心者の方にとって開設しやすい料金設定となっています。

Wixのメリットには次の3点があります。

  • 月額料金の安さ(個人であれば無料〜3,800円)
  • 越境ECとしても強く利用者数が多い
  • FacebookやInstagramと連携したマルチチャンネル販売

反対に、デメリットは次の2点があります。

  • Corvid by Wixというサービスで機能拡張ができるが公式サイトが英語
  • 安いプラン程サーバーや転送量に制限がある

サーバーや転送量に制限がある場合、ご自身のショップに訪れた人が増加するとサイトの表示が遅くなるなど、ショップのパフォーマンスが落ちてしまいます。そのため、ユーザーが離脱してしまうといった危険性が考えられます。

海外発祥ということもあり、以前は日本語でのサポートがありませんでした。ただ、2020年現在では、平日8時〜17時の間でサポートを行っています。

特に、安くショップを開設しながらそこそこ機能には拘りたい、カスタマイズもしてみたいという方にオススメです。

STORES.jp

STORES.jp

画像引用元:STORES.jp

STORES.jpは、ストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社が展開している国内発のプラットフォームです。2012年からのサービス開始であり、他のプラットフォームと比べると比較的最近です。ただし、2020年現在毎月1万ショップ以上が開設されており、同社が公開している「STORES Magazine」ではネットショップ運営のノウハウを学ぶことも可能です。

STORESのメリットには次の3点があります。

  • 無料プランと有料プランの2つがありシンプルでわかりやすい
  • ファッション、雑貨、フード・ドリンクのジャンルに特に人気
  • 決済手数料がスタンダードプラン(1,980円/月)で3.6%と安い

デメリットとしては次の3点があります。

  • デザインテンプレートが48種類と少ない
  • フリープランだと決済手数料が高かったり(5%)制限が多い
  • シンプルが故、コーディングの知識があっても高度なカスタマイズができない

また、外部サービスへ「Buyボタン」を作って埋め込むことができるため、STORES.jpでは再現できないデザイン性の高いサイトでもユーザーに商品を買ってもらうことが可能です。そのため、初心者の個人の方はもちろん、すでにあるサイトでネットショップを行いたい方にもおすすめです。

MakeShop

MakeShop

画像引用元:MakeShop

MakeShopは、GMOメイクショップ株式会社が展開しているプラットフォームです。店舗会員数は4,400万人以上、流通総額は1,734億円で、ショップ売上は8年連続No.1であることが特徴です。また、各種メディアにも掲載されているため、知名度が高いショップの一つです。

MakeShopのメリットには次の3点があります。

  • ネットショップの運営に役立つ機能が650種類以上
  • コーディングの知識がある場合はかなり柔軟にカスタマイズが可能
  • 公式サイトで使える機能などについての説明がわかりやすくメールや電話などでのサポート体制も万全

デメリットには次の2点があります。

  • 運営費用が高め(10,000円/月〜)
  • 企業にもよく使われるプラットフォームなので初心者の個人の方には開設のハードルが高く、気軽に使うのが人によっては難しい

これまで紹介したプラットフォームと比べると玄人寄りなので、個人でも将来的にネットショップを大規模にしていきたいという方におすすめです。

カラーミーショップ

カラーミーショップ

画像引用元:カラーミーショップ

カラーミーショップは、GMOペパボ株式会社のサービスです。国内では4万店舗以上の開設実績を持ち、MakeShopのカスタマイズ性や機能性に、BASEのような初心者でも参入がしやすいといった特徴を併せ持っています。

カラーミーショップのメリットには次の4点があります。

  • セキュリティ対策やアクセス集中に強い
  • 管理画面が見やすく操作性が良い
  • 実績では大体のショップのジャンルは網羅している
  • 販売手数料がゼロ

デメリットとしては次の2点があります。

  • 決済にはカラーミーペイメントの導入が必要で月額500円~2,000円がかかってしまう
  • サイトデザインの基本である無料テンプレートが少ない

なお、初心者の個人の方であればエコノミープラン(834円/月)、もしくはレギュラープラン(3,000円/月)であれば問題ないでしょう。

カラーミーショップはYouTubeチャンネルでのレクチャーやセミナー、コラムも充実しています。その為、ネットショップを始めたいものの右も左も分からずに困っている…という方にオススメです。

まとめ

ネットショップ開設前に必要な準備、ネットショップとプラットフォームの種類を紹介しました。いずれもネットショップ開設にあたって重要なポイントです。

どれか一つでも準備や知識の吸収を怠ってしまうと、開設途中で挫折してしまったり、ご自身の志向に合わないプラットフォームを選択してしまったりして、固定費ばかりかかってしまう事態になりかねません。今回お伝えしたことをしっかりと守っていってください。

Shopify Guide編集部は、メディア「Shopify Guide」の運営によってShopifyの最新情報やノウハウを常に蓄積してきています。ShopifyでECサイトの新規制作・リニューアル、Web広告などによるプロモーションをお考えの方は、こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。