Shopify(ショッピファイ)を利用している方や、これから導入を検討している人で、「越境ECサイトを展開したいけど、海外発送のやり方がわからない」「Shopifyの海外発送にはどのようなものがある?」などの悩みを抱えている人は少なくありませ。
今回は、Shopifyの海外発送について解説します。海外発送時の注意点や手順、Shopifyならではの海外発送に便利なアプリも紹介します。
難しそうに見える海外発送もアプリを活用すれば簡単に行うことができます。これからShopifyで海外発送を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
海外発送をする際の注意点
海外発送をするときは、国内とは違うので注意点があります。詳しく解説しましょう。
- 梱包
- 関税処理
- 発送までの時間がかかる
梱包
海外発送するときは、梱包には気をつけてください。飛行機や船で長時間かけて運ばれることもあり、簡易な梱包では商品に傷が付くなど、影響が出てしまうかもしれないためです。そのため、必ず箱に入れ、緩衝材を使って商品を保護して送りましょう。
商品に問題があった場合、トラブルのもととなります。特に相手が海外にいる場合、言語の問題などもあって解決に時間を要する可能性も高いです。発送前に防止することを心掛けましょう。
関税処理
海外に発送する場合、国内発送と大きく異なる点は、関税処理が必要なことです。関税とは、他国から商品を輸入したときに、輸入する側の国が商品にかける手数料のようなもので、安く輸入できる外国の商品から国内の商品や産業を守るためにあります。また、国によってはVAT(付加価値税)が必要なところもあり、発送前に確認が必要です。
しかし、関税処理を知らない人も多いでしょう。そんなときは、郵便局の窓口に行けば、海外へ荷物を発送するときに必要な税関告知書の書き方や、発送する商品が輸出制限品目に該当しないかのチェックをお願いできます。
発送までの時間がかかる
海外へ発送は時間がかかります。国内とは違い、海外に送るので国内に比べれば距離があり、通関手続きなどの処理もあるため、購入者の手元に届くまで時間を要すると考えておきましょう。
また、船舶で送るとなると、航空便に比べてさらに時間を要するため、どの手段で送るかも事前に知っておきましょう。コストも違うため、発送時に確認すべきポイントです。
Shopify(ショッピファイ)が海外発送に優れている理由
Shopify(ショッピファイ)は、海外発送に優れているといわれています。ここでは、その理由について解説します。大きなポイントは、次の3点です。
- アプリで海外発送に対応できる
- 多言語展開ができる
- 決済方法が豊富にある
アプリで海外発送に対応できる
Shopifyには、海外発送のアプリが準備されています。アプリを利用するメリットは、発送時に厄介な配送業者の選定を円滑に行えるため、発送業務の負担を軽減できることです。
その他にも、海外発送に必要なインボイスや送り状、納品書の発行も簡単にできるため、わざわざ自分でゼロから作成する手間をなくせます。また、中には日本郵便と提携しているアプリもあるため、最新の発送料金を知れるため、事前に料金を確認した上で発送の準備を行うことが可能です。
このように、Shopifyのアプリを活用すれば海外発送業務を手軽に行えるため、難しく考えずに海外顧客との取引ができるでしょう。
多言語展開ができる
Shopifyは多言語展開できるため、海外顧客への販売を行いやすいです。多言語対応にもShopifyのアプリを活用できます。中には自動で翻訳してくれるアプリもあり、英語やその他言語の知識がなくても翻訳可能です。
どうしても言語の知識がないと海外販売をためらってしまう人もいるでしょうが、Shopifyならばその心配はありません。そのため、国内だけでなく海外への展開を考えている方は、Shopifyの利用を検討してみてください。
決済方法が豊富にある
Shopifyの決済方法は非常に豊富です。主要クレジットカードだけでなく電子マネーも多く対応しており、決済手段がないという理由で購入に至らないケースをなくします。
また、決済方法が限定されていると海外顧客から敬遠されてしまいますが、その心配がありません。特に、ShopifyペイメントはShopifyの公式決済サービスで、一つのプロバイダで複数の決済サービスを利用できます。多くの通貨にも対応しているため、海外販売時には重宝するでしょう。
Shopify(ショッピファイ)の海外発送の送料
Shopify(ショッピファイ)での海外発送の送料の設定方法には、次の2つの方法があります。
- ①独自に料金を設定する
- ②配送業者やアプリを使って料金を計算する
「Easy Rates Japan Post」というアプリを使うと、海外発送の送料が自動で簡単に計算できます。
Easy Rates Japan Postについては後述します。海外発送する場合は、関税と輸入税にも注意が必要です。可能であれば、チェックアウト画面で関税や輸入税についても請求しましょう。
海外発送する際の手順
続いては、海外発送をするときの手順について解説します。
- 梱包
- 重量の測定
- 配送業者の手配
梱包
まずは商品の梱包です。梱包時に準備するのは次のものです。
- 頑丈な箱(段ボール箱など)
- ガムテープ
- ビニール袋
- 緩衝材(新聞紙、エアクッションなど)
商品を緩衝材で包んで、頑丈な箱に入れてください。箱は、ガムテープでH字に止めましょう。水の侵入を防ぎ強度をアップできます。
また、縁や箱の中心にもガムテープを貼るとさらに良いです。そして、発送用ラベルは開封口へかからないように貼ってください。
なお、衣類や本を送る場合は、中身の見えるビニール袋に入れると良いでしょう。水の侵入を防ぎ、税関検査のときも中身が見えるため安心です。
壊れ物を送るときは緩衝材でしっかり包み、「FRAGILE」のシールを箱に貼ると良いでしょう。また、小さいものを送る場合は、箱に隙間がないようにしてください。余ったスペースに緩衝材を詰めれば安心です。
重量の測定
続いて、重量の測定です。重さによって発送費用が変わるため注意してください。重量は、梱包したものとなるので、商品だけではありません。
なお、日本郵便のホームページにはEMSの重量ごとの費用も出ているため、参考までに事前確認すると良いでしょう。
配送業者の手配
最後に配送業者を手配しましょう。主な配送業者は次のとおりです。業者によっては重量や発送する箱の大きさ、取り扱いできない国の制限があるため、発送条件と合致するかを必ず確認して選定しましょう。
- 日本郵便(EMS、国際eパケット)
- FedEx
- UPS
- DHL
- クロネコヤマト(国際宅急便)
- 佐川急便(飛脚国際便)
Shopify(ショッピファイ)を利用する際の配送業者の選び方
Shopify(ショッピファイ)での配送周りの設定の際、前提として認知して欲しいのが、日本ではShopify公式が国内の配送周りの集荷には対応していないという点です。そのため、次の2つのどちらかの方法で配送業者の手配が必要になります。
- 配送業者に集荷依頼をする
- 物流サービスと契約の上集荷手配も行ってもらう
配送業者に集荷依頼をする
事業者自身が、配送業者に集荷依頼をする方法です。費用は抑えられますが、手間と時間がかかります。
物流サービスと契約の上集荷手配も行ってもらう
日本の配送業者は主に、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便です。事業者自身が集荷依頼をする場合は、配送業者を選定した上で、契約をします。商品の受注後は、宛名の作成、梱包、集荷依頼まですべて事業者がする必要があります。
物流サービスと契約した場合は、物流会社が契約している配送業者での依頼となります。集荷手配もサービスとして提供しているため、商品を倉庫に送るだけで、配送まで実施してくれます。
自社で商品の配送手配をするのは、手間も時間もかかってしまうため、ある程度の出荷量が見込める場合は、物流サービスに委託するのがおすすめです。
Shopify(ショッピファイ)で海外発送する際に便利なアプリ
続いて、Shopify(ショッピファイ)で海外発送するときに便利なアプリを紹介します。今回紹介するのは3つのアプリです。それぞれの特徴や価格を紹介します。
- Easy Rates Japan Post
- Easy Label Japan Post
- Shipandco
Easy Rates Japan Post
Easy Rates Japan Postは、日本郵便で利用できるすべての発送方法と料金を表示できるアプリです。日本郵便の料金を簡単に設定できるため、迷うことがないでしょう。日本郵便を活用して海外発送する方におすすめです。
≪価格≫
価格は月額9.90ドルです。7日間の無料トライアル期間もあります。
≪特徴≫
Easy Rates Japan Postの特徴は、日本郵便の料金を簡単に設定できることが挙げられます。このアプリをインストールすれば、配送料を手動でストアに設定する必要がなくなるため、配送料の設定がすぐに可能です。自分で調べる手間もなくなるので、業務効率も実現できるでしょう。
また、配送方法の追加や削除もできるため、必要な配送方法だけを正確に表示し、誤った配送料で顧客から余計な配送料を徴収する心配もなくなります。そして、一律料金や割合手数料の追加もできるため、自分で調べて計算する手間も省略可能です。
Easy Label Japan Post
Easy Label Japan Postは、日本郵便の国際配送方法を選択し、Shopify内で発送ラベルを作成できるアプリです。宛名を自分で作成する手間を省けます。価格はプランによって異なります。
- LITEプラン:月額14.90ドル(最大発行可能数100枚)
- BASICプラン:月額39.90ドル(最大ラベル発行可能数300枚)
- PLUSプラン:月額69.90ドル(最大ラベル発行可能数600枚)
毎月のラベル発行可能数が異なるため、取引に応じてプランを選ぶと良いでしょう。また、7日間の無料トライアル期間もあります。
特徴
Easy Label Japan Postの特徴は、日本郵便の宛名を簡単に作成できることです。さらに、ワンクリックで保険を追加して、配送トラブルのリスクにも備えられます。
また、税関手続きをスムーズに進めるために内容品の情報の変更や追加といった宛名ラベルのカスタマイズも可能です。海外発送時のトラブルによくあるのがラベルと内容の不一致です。事前にしっかり確認し、内容の不一致を避けましょう。
Shipandco
Shipandcoは、無料でインストールできる海外発送のアプリです。国内外の主要な配送業者が統合されているため、送料比較から業者を選べます。
インストールは無料ですが、次のプランが用意されています。
- 従量課金制 30円(税抜)/件
- 月額割引プラン:1,000円〜(税抜)/月
また、14日間の無料トライアル期間もあるので、試しに使ってみても良いでしょう。
特徴
Shipandcoの特徴は、複数のEC店舗のオーダーを一元管理でき、送料の比較や、送り状・インボイスの発行、そして追跡情報の同期までの出荷作業を一つのインターフェイスで完了できることです。受注情報をリアルタイムで同期できるため、管理もしやすいでしょう。
そして、複数運送会社の料金比較も可能です。日本郵便やFedEx、ヤマト運輸、佐川急便などの比較をできるため、注文によって分けたり、安いところを選べたりできます。
送り状・インボイスの発行も簡単にできるため、業者選定から発送業務の短縮化まで可能です。費用も1件ずつからの料金なので、海外発送時に利用を検討してみると良いでしょう。
Shopify(ショッピファイ)で海外販売を行う際の注意点
最後に、Shopify(ショッピファイ)での越境ECサイト運営を成功させるための注意点とポイントを解説します。
- 多言語に対応させる
- 決済方法を充実させる
- 関税に関する記載を行う
- 海外特有の支払い動向について把握する
- 販売予定国の法律を確認する
多言語に対応させる
越境ECサイトの言語は、一般的に世界中での話者が多い英語に対応させることが一般的です。しかし、販売予定国のEC利用状況によっては、英語以外の言語を設定する必要も出てきます。そのため、Shopifyでの越境ECサイトはできるだけ多言語に対応させることが重要です。
商品のジャンルや展開する国や地域をしっかりとリサーチして、できるだけ多くのユーザーにアプローチできるように多言語に対応させましょう。
決済方法を充実させる
決済手段は、越境ECサイトの運営において非常に重要です。その国のユーザーが普段から使い慣れている決済手段を実装しないと、途中でサイトから離脱してしまいます。
Shopifyで越境ECサイトを運営する際は、販売予定国にあった決済手段を用意しましょう。先進国ではクレジットカードを利用する人が多いですが、発展途上国では銀行振込やその国特有の決算手段で対応しなければなりません。
たとえば、中国ではデビットカードタイプの「銀聯カード」が決済手段としてよく使われています。逆に、東南アジアでは代引き決済が主流です。
関税に関する記載を行う
越境ECサイトでは国境を超えて荷物を配送するため、商品やサービスに対して関税が発生します。関税は購入者に支払い義務があるため、金額が大きくなると購入拒否などのトラブルにつながりかねません。
そのため、Shopifyで越境ECサイトを運営する際は、商品価格に加えて関税を支払う旨をしっかりと明記しましょう。国によっては輸入が禁止されている製品もあるため、その国で自社商品をEC販売できるか確認することも大切です。
海外特有の支払い動向について把握する
海外ユーザーは、国内ユーザーに比べて商品購入から代金支払いまでのスパンが長くなる傾向にあります。日本のように商品購入からすぐクレジットカード決済や銀行振込などに進むことは多くありません。
Shopifyで越境ECサイトを運営する際は、その国特有の支払い動向を考慮して在庫管理しましょう。注文完了後すぐに商品を補充するのではなく、支払い購入までのスパンを冷静に判断して在庫管理することが大切です。
販売予定国の法律を確認する
越境ECサイトを安全に運営するには、その国の法律に従って商品販売や発送などを行わなければなりません。海外ECマーケットでは、国内では考えられないようなルールが設定されている場合もあるため注意が必要です。
たとえば、中国では越境ECサイトを運営するのに政府からの許可が必要で、違反すると罰金やその他のペナルティを課されます。その他、古着の輸入が禁止されていたり、中古機器の販売には現地確認が必要になったりと、国内より規制が厳しめです。Shopifyで越境ECサイトを運営する際は、その国のルールや法律をしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
Shopify(ショッピファイ)の海外発送について解説しました。
Shopifyは、海外発送専用のアプリも準備されており、越境ECに向いているECプラットフォームです。海外への発送となると難しいと考えてしまう人もいるかもしれませんが、Shopifyであれば事例も多く、安心して販売できます。国内だけでなく、海外への販売を検討されている方は、ぜひ利用を検討すると良いでしょう。
Shopify Guide編集部は、メディア「Shopify Guide」の運営によってShopifyの最新情報やノウハウを常に蓄積してきています。ShopifyでECサイトの新規制作・リニューアル、Web広告などによるプロモーションをお考えの方は、こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。