Shopifyのカスタムアプリとは?導入メリット・開発方法をわかりやすく解説

ShopifyでECサイトを運営していると、「標準機能では実現できないカスタマイズをしたい」「特定の業務を自動化して効率化したい」と感じることはありませんか?そんな課題を解決するツールが「Shopifyカスタムアプリ」です。カスタムアプリを導入すれば、注文処理の自動化や在庫管理の最適化、外部システムとの連携など、ストア独自の機能を追加できます。

今回は、Shopifyカスタムアプリの概要や導入メリット、開発方法、導入事例について詳しく解説します。自社ストアに最適な機能を追加し、運営の効率化を図りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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Shopifyカスタムアプリとは?

Shopifyカスタムアプリは、ストア独自のニーズに応じて機能を拡張できる専用アプリです。パブリックアプリでは実現できない細かなカスタマイズや業務効率化が可能です。ここでは、カスタムアプリの概要とパブリックアプリとの違いについて詳しく解説します。

カスタムアプリの概要

Shopifyカスタムアプリとは、特定のストアのニーズに合わせて個別に開発される専用アプリのことです。通常のShopifyアプリストアで公開されるパブリックアプリとは異なり、特定のショップ専用に作成され、Shopify APIを活用して機能を拡張できます。不要な機能を省き、店舗運営に最適化されたシンプルで効率的なシステムを構築できることが大きなメリットです。

パブリックアプリとの違い

Shopifyカスタムアプリとパブリックアプリは、利用目的や提供方法が異なります。

カスタムアプリは、特定のストア専用に開発されるアプリで、Shopify APIを活用して独自の機能追加や外部システムとの連携が可能です。アプリストアには公開されず、管理画面から直接インストールできるため、店舗の業務に最適化したカスタマイズが可能です。

一方、パブリックアプリは、Shopifyアプリストアで公開され、複数のストアで利用できる一般向けアプリです。Shopifyの審査を通過し、幅広い店舗で利用できる汎用的な機能を提供しますが、特定の店舗に完全に最適化することは難しい点が特徴です。

カスタムアプリは独自要件に対応しやすい一方、パブリックアプリは手軽に導入できるメリットがあります。ストアの運営ニーズに応じて適切に選択しましょう。

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カスタムアプリを導入するメリット

カスタムアプリを導入するメリットは、次のとおりです。

カスタムアプリを導入するメリット
  • 業務に合わせた機能をカスタマイズできる
  • 他システムとのシームレスに連携できる
  • 作業を自動化でき効率化につながる

業務に合わせた機能をカスタマイズできる

上述したように、Shopifyカスタムアプリを導入すると、標準機能では対応できない独自の業務フローを実現できます。

たとえば、特定の商品の注文処理を自動化したり、複数の倉庫とリアルタイムで連携する在庫管理システムを構築したりすることが可能です。また、特定の顧客に限定した割引や会員向け価格の設定など、細かいルールを反映したカスタマイズも行えます。

さらに、ポイントプログラムの導入やVIP向けの限定コンテンツの提供など、ストア独自の施策を柔軟に設計できるのも大きなメリットです。

他システムとのシームレスに連携できる

Shopifyカスタムアプリを活用すると、ERP(基幹業務システム)やCRM(顧客管理)、POS(店舗管理)、WMS(倉庫管理)などの外部システムとAPI連携が可能です。これにより、データの自動同期や業務の効率化が実現できます。

たとえば、在庫データをリアルタイムで更新し売り切れを防ぐ、POSとECの販売データを統合して分析を強化するといったことが可能です。また、CRMとの連携により、購入履歴に基づくパーソナライズされたマーケティングも行えます。

作業を自動化でき効率化につながる

Shopifyカスタムアプリを活用すると、受注処理や配送手続き、顧客対応などの業務を自動化でき、作業負担を大幅に軽減できます。これにより、人的ミスの防止や業務時間の短縮につながり、運営コストの最適化が実現するのもメリットです。

業務の自動化によって、スタッフはより重要な業務に集中できるため、ストアの成長をさらに加速させられます。

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Shopifyカスタムアプリの開発方法

Shopifyカスタムアプリの開発方法にはどのようなものがあるのでしょうか?主な方法は次のとおりです。

Shopifyカスタムアプリの開発方法
  1. Shopifyパートナーアカウントを登録する
  2. 開発ストアを登録する
  3. アプリを作成する
  4. APIキーとシークレットキーを取得する
  5. 開発環境のセットアップを行う
  6. アプリを開発する
  7. デプロイとインストールを行う

Shopifyパートナーアカウントを登録する

Shopifyカスタムアプリを開発するには、Shopifyパートナープログラムに登録し、開発者用アカウントを取得する必要があります。パートナーアカウントを作成すると、開発ストアの作成やAPIの利用、テスト環境の構築が可能です。

登録手順は、次のとおりです。

登録手順
  1. Shopifyパートナープログラム公式サイトにアクセスする
  2. 「パートナーになる」をクリックし、メールアドレスやビジネス情報を入力する
  3. アカウントを作成し、パートナーダッシュボードにログインする
  4. 開発ストアを作成し、APIキーを取得する

 

パートナーアカウントを使えば、無料で開発環境を利用でき、テストやカスタムアプリの作成がスムーズに行えます。

開発ストアを登録する

開発ストアはカスタムアプリの開発・検証に必須の環境となるため、早めに作成しておきましょう。

作成手順は次のとおりです。

作業手順
  1. Shopifyパートナーダッシュボード にログインする
  2. 「ストア管理」 を選択し、 「ストアを追加」をクリックする
  3. 「開発ストア」 を選択し、ストア名やドメインを設定する
  4. 「ストアを作成」 を押して完了する
  5. デプロイとインストールを行う

    開発ストアは無料で利用可能で、コードのテストやShopify APIの動作確認ができます。

    アプリを作成する

    開発ストアの登録を行ったら、パートナーダッシュボードから新規アプリを作成します。ここで取得するAPIキーを利用して、Shopifyストアと連携した機能を開発できます。

    作成手順は次のとおりです。

    作成手順
    1. Shopifyパートナーダッシュボードにログインする
    2. 「アプリ管理」 を開き、 「アプリを作成」 をクリックする
    3. 「カスタムアプリ」 を選択し、アプリ名を入力する
    4. Shopify APIの権限設定(注文、顧客、在庫管理など)を行う
    5. アプリを開発する

      このプロセスにより、Shopify APIと連携した独自機能を開発・実装できる環境が整います。

      APIキーとシークレットキーを取得する

      Shopifyカスタムアプリを開発するにあたり、APIキーとシークレットキーは、Shopify APIを利用するために必要な認証情報です。取得手順は次のとおりです。

      取得手順
      1. Shopifyパートナーダッシュボード にログインする
      2. 「アプリ管理」 から作成したカスタムアプリを選択する
      3. 「認証情報」タブを開く
      4. APIキーとシークレットキーを確認し、コピーする
      5. 安全な場所(環境変数、パスワードマネージャーなど)に保存する

        これらのキーが万が一漏えいすると、ストアのデータが不正アクセスされるリスクがあるため、厳重に管理することが重要です。

        開発環境のセットアップを行う

        Shopify CLIや開発言語(Node.js、Pythonなど)を使用して開発環境をセットアップします。これにより、Shopify APIとスムーズに連携し、アプリの開発・テストが可能になります。セットアップ手順は次のとおりです。

        セットアップ手順
        1. Shopify CLIをインストール
        2. 開発言語・フレームワークを準備(Node.js, Python, Flask/Django, Express など)
        3. Shopify CLIでアプリのプロジェクトを作成(shopify app create node など)
        4. ローカルサーバーを起動し、動作確認(shopify app serve)

          この環境を整えることで、Shopify APIと連携した機能を開発・テストでき、スムーズなアプリ開発できます。

          アプリを開発する

          Shopifyカスタムアプリは、Shopify API(Admin API、Storefront API)を活用して、注文管理や在庫管理などの機能を実装します。「Admin API」は注文・顧客・在庫データの管理、自動処理の実装ができ、「Storefront API商品一覧の表示、カート機能の拡張、カスタムチェックアウトの開発ができます。

          開発手順は次のとおりです。

          開発手順
          1. APIキーを設定し、認証を構築する
          2. Admin APIで注文処理や在庫管理を自動化する
          3. Storefront APIでストアフロントのカスタマイズを実装する
          4. Webhookを活用し、リアルタイムでデータを同期する

            これにより、業務の自動化やストアの最適化が可能になり、Shopify運営の効率化に貢献できます。

            デプロイとインストールを行う

            Shopifyカスタムアプリの開発が完了したら、本番環境にデプロイし、ストアにインストールする作業を行います。

            まず、クラウドサーバーやホスティングサービス(例:Heroku、AWS、Vercel)にアプリをデプロイし、安定した運用環境を整えます。その後、Shopifyパートナーダッシュボードから対象ストアにアプリをインストールし、APIキーを設定してストアと連携します。

            インストール後は、注文処理や在庫管理などの動作を最終確認し、Webhooksが正しく機能しているかをチェックします。また、エラー発生時の対応策を事前に準備し、スムーズな運用を確保することも重要です。適切なデプロイとインストールを行うことで、安全で安定したShopifyカスタムアプリの運用が可能です。

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            Shopifyアプリ開発の注意点

            Shopifyアプリ開発では留意すべき点があります。主な注意点は次のとおりです。

            Shopifyアプリ開発の注意点
            • APIにはレートリミットがある
            • OAuth認証とデータセキュリティを確保する
            • アプリの動作テストとバグ修正を行う
            • Shopifyのポリシーとプライバシールールを順守する

            APIにはレートリミットがある

            Shopify APIには、一定時間内に許可されるリクエスト数(レートリミット)が設定されており、過剰なリクエストを送るとエラー(429 Too Many Requests)が発生します。特に、大量のデータを取得・更新する際は、レートリミットを超えないように設計することが重要です。

            効率的にデータを取得するには、キャッシュを活用する方法があります。例えば、頻繁に変わらないデータは、一度取得したら一定時間キャッシュに保存し、必要なときに再利用することでAPIの負荷を軽減できます。また、バッチ処理を実装し、一度に大量のデータを取得・更新することで、レートリミット内で効率的に処理を行えます。

            OAuth認証とデータセキュリティを確保する

            Shopifyカスタムアプリでは、ストアのデータに安全にアクセスするためにOAuth認証を使用します。OAuthを適切に設定することで、不正アクセスを防ぎ、ストアのセキュリティを強化できます。

            OAuth 2.0フローでは、アプリがストアのAPIにアクセスする前に、ストア管理者の許可を得るプロセスが必要です。これにより、許可された範囲内のデータにのみアクセス可能となり、悪意のある第三者が不正にデータを取得するリスクを軽減できます。

            認証フローの設計では、アクセストークンを適切に管理し、期限切れや不正利用を防ぐ仕組みを導入することが重要です。

            アプリの動作テストとバグ修正を行う

            開発後は、ローカル環境やShopifyのテストストアで十分な動作検証を行いましょう。特に、注文処理や在庫管理に関連する機能は、エラーやバグが発生するとストア運営に影響を与えるため、念入りにテストする必要があります。

            加えて、エラーログを記録し、バグ発生時のデバッグを迅速に行える仕組みを整えることが大切です。

            Shopifyのポリシーとプライバシールールを順守する

            Shopifyには、アプリ開発に関するポリシーやプライバシールールが定められています。たとえば、顧客データの取り扱いには厳格なガイドラインがあるため、無断で情報を収集・保存しないように注意が必要です。また、パブリックアプリとして公開する場合、Shopifyの審査基準を満たす設計を行いましょう。

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            Shopifyカスタムアプリの導入事例

            Shopifyカスタムアプリの導入事例は、次のとおりです。

            Shopifyカスタムアプリの導入事例
            • 在庫管理を自動化する
            • 注文処理を効率化する
            • サブスクリプション機能を追加する

            在庫管理を自動化する

            複数の倉庫を運営するストアでは、リアルタイムでの在庫同期が不可欠です。手作業での在庫更新では、売り切れや誤出荷のリスクが高まり、業務負担も増加します。そこで、カスタムアプリを導入すると、倉庫管理システム(WMS)とAPI連携することで、在庫管理の自動化できます。

            さらに、店舗とECサイトの在庫を統合することで、販売チャネルを問わず正確な在庫管理が可能になり、注文処理のミスが大幅に削減可能です。

            注文処理を効率化する

            Shopifyストアでは、受注後の処理を手作業で行うと時間がかかり、ミスが発生しやすいという課題があります。特に、注文確認・送り状発行・配送手続きの手順が煩雑な場合、業務の負担が大きいことが難点です。

            カスタムアプリを導入し、Shopifyと配送業者のシステムをAPI連携させることで、注文確定時に送り状が自動作成され、配送業者へ出荷指示が送信されます。さらに、追跡番号も自動で顧客に通知されるため、問い合わせ対応の負担を大幅に削減できます。配送の効率化は、顧客満足度の向上にもつながります。

            サブスクリプション機能を追加する

            Shopifyの標準機能は、定期購入(サブスクリプション)モデルに対応していないため、ストア独自のサブスク販売を行うことが難しいです。

            そこで、カスタムアプリを開発し、注文管理システムと連携した定期購入機能を導入することで、顧客は希望の購入サイクル(例:毎週・毎月・3ヶ月ごと)を自由に選択できます。選択後は、システムが自動で定期注文を作成し、決済処理までスムーズに実行されます。

            また、会員ランクに応じた特別価格の適用や、継続利用者向けの特典を提供する機能も搭載できます。

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            まとめ

            カスタムアプリを開発する場合、専門知識が求められます。

            Shopify Guideは、メディアの運営によってShopifyに関する幅広く情報を得ていますので、Shopifyでの運営ノウハウを共有したり、コンサルティングを行ったりできます。カスタムアプリに限らず、Shopify運営でお悩みやご不安な点がある方は、下の問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

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