「Shopifyで領収書はどうやって発行するの?」「簡単に領収書を発行できるShopifyアプリは?」といった疑問をお持ちでしょうか?実は、Shopifyの標準機能では領収書が発行できません。
そこで今回は、Shopify運営者なら知っておきたい領収書発行方法やおすすめのアプリ、領収書の発行義務、領収書の代わりになる書類などを詳しく解説します。顧客満足度の向上やトラブルの防止のため、Shopifyの領収書発行の準備を整えたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
Contents
領収書とは
はじめに、Shopify運営者なら知っておくべき領収書に関する基本知識を解説します。
領収書の定義
領収書は、商品やサービスなどに対する支払いが完了したことを証明する書類です。代金を支払った購入者は、代金を受け取った事業者に対して、領収書の発行を請求でき、請求された事業者は領収書を発行する義務が生じます(民法486条)。
ただし、領収書の発行は代金の支払いと同時に行われるという「同時履行の原則」があります。支払方法によっては同時履行に当たらず、領収書の発行義務は発生しません。
領収書に記載する項目
領収書に記載する項目は次のとおりです。
- 取引日
- 購入者名
- 発行元の情報
- 支払内容
- 支払金額
- 適格請求書発行事業者の登録番号(該当する場合のみ)
領収書のルール・注意点
領収書の発行する際は、改ざん防止のために次の点に注意しましょう。
- 金額の前に「¥」や「金」、後ろに「‐」や「也」を付ける。
- 但し書きの最後に「として」と記載する。
- 宛名に「上様」と書いたり、但し書きに「お品代として」と書いたりすることを避ける。
また、領収書に記載された金額が5万円以上の場合、原則として収入印紙が必要です。印紙税法に基づき、収入印紙を郵便局やコンビニで購入し、領収書に貼り付けてから購入者に渡します。
ただし、電子発行の領収書やクレジットカード決済・キャッシュレス決済による領収書には、収入印紙が不要です。Shopifyで領収書を発行する場合は電子発行となるため、収入印紙は不要です。
その他の書類との違い
Shopifyで扱う書類とその役割は次のとおりです。
- 領収書:支払いが完了したことを証明する書類
- 請求書:商品やサービスの代金を請求する書類
- 見積書:商品やサービスの費用を事前に提示する書類(支払いが未確定の段階で発行される)
- 納品書:商品が購入者に確実に配送されたことを証明する書類
- 明細書:商品やサービスの内訳を詳細に記載した書類
明細書または支払明細書の記載内容は領収書とほぼ同じですが、領収書とは異なり、支払いが完了した証明ではない点に注意する必要があります。
領収書発行の決済方法別の必要性
続いて、決済方法別の領収書発行の義務について解説します。今回解説する決済方法は次のとおりです。
- クレジットカード
- 銀行振込
- 代金引換
- 電子マネー
- Shopifyポイント
クレジットカード
クレジットカードは、Shopifyで最も選択される決済方法です。
クレジットカード決済の場合、事業者は信用取引で購入者に商品を渡しているため、同時履行には当てはまらず、Shopify運営者に領収書発行の義務はありません。クレジットカード会社が発行する利用明細書が領収書の代わりです。
しかし、購入者から領収書の発行請求があれば、通常事業者は請求書を発行します。クレジットカード決済をした購入者から領収書発行の請求があった場合は、領収書に「クレジットカード決済」と記載することで、二重計上のトラブルを防げます。
銀行振込
銀行振込決済は同時履行ではないので、事業者に発行義務はなく、振込明細書や通帳記録がその代わりになると誤解している人が多いです。しかし、振込明細書や通帳記録では支払内容が不明瞭なため、事業者に領収書の発行義務が発生します。
そのため、銀行振込決済をした購入者から領収書の発行を求められたら、事業者は応じなくてはなりません。銀行振込決済を行った購入者に領収書を発行する場合も、領収書に「銀行振込」と記載するのがよいでしょう。
代金引換
代金引換決済では、購入者が代金を支払う対象は事業者ではなく運送会社です。そのため、同時履行には当たらず、Shopify運営者に領収書の発行義務はありません。代金引換決済では、配送業者が発行する送り状(伝票)が領収書の代わりです。
送り状が既に購入者の手元にある場合、領収書の発行は二重発行となりトラブルの原因になります。そのため、購入者からの依頼があった場合は、送り状を回収したうえで領収書を発行することが望ましいでしょう。
電子マネー
電子マネーはチャージ方法によって、同時履行に当たる場合とそうでない場合があります。電子マネーにはチャージ方法によって、次の3パターンがあります。
- プリペイド型(前払い):先に現金をチャージして支払うタイプ
- デビット型(即時払い):銀行口座に連結されており、使うと同時に口座残高が減るタイプ
- ポストペイ型(後払い):クレジットカードと紐づけるタイプ
プリペイド型とデビット型は同時履行に当たり、領収書の発行義務があります。ポストペイ型では領収書の発行義務はありません。
代表的な電子マネーサービスであるPayPayはこれらすべてのチャージ方法があり、チャージ方法によって、領収書の発行義務が異なります。電子マネー決済はプリペイド型とデビット型の可能性がある以上、領収書の発行義務があると考えておくのが無難でしょう。
ポストペイ型の場合は、紐づけているクレジットカードの利用明細書が領収書の代わりです。
電子マネー決済を行った購入者に領収書を発行する場合も、領収書に「電子マネー決済」と記載しましょう。
Shopifyポイント
Shopifyでは、ポイント制度や、クーポンを導入している場合があります。ポイントやクーポンを利用して決済を行うと、その分は値引き扱いです。
商品金額を全額ポイントで支払った場合、支払金額は0円となるため、領収書は発行できません。一部をポイントやクーポンで支払い、残額がある場合には、その残額に対して領収書を発行します。
Shopify(ショッピファイ)で領収書を発行する方法
領収書の発行義務がない場合でも、購入者から領収書の発行を求められたら、それに応じるのが一般的です。ここでは、Shopifyで領収書を発行する方法を解説します。
標準機能ではできない
実は、Shopifyの標準機能では領収書が発行できません。標準機能で可能なのは、明細書の発行のみです。
だからといって、Shopifyで領収書を発行できないわけではありません。
明細書発行機能をカスタマイズする
Shopifyの明細書のテンプレートをHTMLやCSS、Liquidを用いてカスタマイズすることで、明細書を領収書として発行できます。
明細書テンプレートを変更する場合は、[配送と配達] 設定の [明細表] セクションで [編集] をクリックします。料金が発生しないメリットがありますが、プログラミングの知識が求められるため、難度が高いです。
手軽に領収書を発行したい場合は、この方法ではなく、アプリや外部サービスの利用がおすすめです。
Shopify(ショッピファイ)の領収書発行におすすめのアプリ
Shopifyの領収書発行におすすめのアプリは次のとおりです。それぞれを詳しく解説します。
- Quick Order Printer かんたん帳票出力
- 領収書
- 領収書KIOSQ(キオスク)領収書
- Docurain(ドキュレイン)
- Order Printer: PDF Invoice App
- Simple Invoice ‑ Order Printer
- Shopify Order Printer
- Order Printer Pro: Invoice App
- Fordeer: PDF請求書作成ツール
- PDF Invoice Order Printer, POS
Quick Order Printer かんたん帳票出力
「Quick Order Printer かんたん帳票出力」では、特別な設定やHTMLコードの編集が不要で、簡単に領収書を発行できます。日本語対応かつインボイス制度にも対応しており、領収書だけでなく納品書、請求書、見積書の発行も可能です。
既存のテンプレートが豊富に用意されており、ロゴや印影の挿入も簡単に行えます。月額9ドルです。
領収書
「領収書」では、日本国内ストアに最適化したPDFの領収書を発行できます。海外製のアプリにありがちな「JPY」や「CT」などの英語表記は一切ありません。インボイス制度にも対応しています。
また、購入者が「宛名」「但し書き」を自分で挿入可能です。月額9.99ドルです。
KIOSQ(キオスク)領収書
「KIOSQ(キオスク)領収書」では、かんたん初期設定→領収書発行URLを送る→お客様が自分で発行というたった3ステップで領収書が発行できます。出荷通知メールのテンプレートにURLを記載するだけで、毎回送信する必要がなく便利です。
管理画面はマニュアル不要で操作がシンプルであり、複数店舗にも対応可能です。月額7.99ドルです。
Docurain(ドキュレイン)
「Docurain(ドキュレイン)」では、Docurain(ドキュレイン)と連携することで、Shopifyの受注データを元にしたオリジナルの領収書を発行できます。DocurainはExcel(エクセル)でデザインした帳票レイアウトにデータをインプットし、PDFでアウトプットできるクラウドサービスです。
日頃から領収書などをExcelで管理している方におすすめです。アプリ自体は無料で利用できます。
Order Printer: PDF Invoice App
「Order Printer: PDF Invoice App」では、プログラミング不要でオリジナルの領収書をカスタマイズできます。すべての注文、または必要に応じて特定の注文に対して、請求書や梱包明細書、払い戻し、クレジットカードの通知の PDFファイルを自動送信できます。月あたり50件までは無料です。
Simple Invoice ‑ Order Printer
「Simple Invoice ‑ Order Printer」では、その名のとおりミニマムでシンプルなデザインの領収書を発行できます。Shopifyとの連携は1分で行うことができます。
カラーやフォント、ロゴなどをカスタマイズできます。領収書の送信は自動と手動の両方が選択可能です。月あたり50件までは無料です。
Shopify Order Printer
「Shopify Order Printer」はShopify社が開発しており、完全無料であるため非常に人気の高いです。しかし、日本語の対応がなく、HTMLファイルを編集する必要があります。
プログラミングの知識があれば、領収書だけではなく納品書なども無料で作成可能です。2024年にアップデートが完了し、パフォーマンスが向上しました。
Order Printer Pro: Invoice App
「Order Printer Pro: Invoice App」では、ロゴをテンプレートに追加するだけで本格的な領収書が発行できます。大量の領収書でもすべて自動送信でき、あらゆる規模の店舗に対応しています。
月あたり50件まで無料で使えますが、日本語のサポートがありません。海外で特に評価が高いアプリです。
Fordeer: PDF請求書作成ツール
「Fordeer: PDF請求書作成ツール」では、簡単に一括ダウンロード・印刷できる請求書、納品書、注文書、返品書を発行できます。コーティング不要でカスタマイズ可能です。
月あたり50件まで無料で使えますが、日本語のサポートがありません。
PDF Invoice Order Printer, POS
このアプリでは、数回のクリックで簡単にPDFの領収書を発行できます。カラーやフォントなど簡単なカスタマイズを行えます。月あたり50件まで無料で使えますが、日本語のサポートがありません。
Shopify(ショッピファイ)の領収書発行におすすめの外部サービス
Shopifyは外部サービスと連携することでも、領収書を発行できます。特に、Amazonや楽天市場など複数のECサイトで出店している場合は、これらを一元管理できる外部サービスを利用するのがおすすめです。
Shopifyの領収書発行におすすめの外部サービスは次のとおりです。それぞれを詳しく解説します。
- ネクストエンジン
- LOGILESS(ロジレス)
- TEMPOSTAR(テンポスター)
ネクストエンジン
ネクストエンジンは、受注処理や在庫管理、出荷管理などが一元化して管理できるクラウド型のバックヤード管理システムです。Shopifyだけでなく、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング、Qoo10などとも連携可能です。
ネクストエンジンの受注伝票から、個別で領収書を出力することができます。また、メールに領収書発行リンクを追加することで、購入者が自ら領収書をダウンロードできる機能も利用可能です。ただし、この機能はネクストエンジンの標準機能ではなく、外部アプリを利用する必要があります。
ネクストエンジンの利用料金は、初期費用は0円です。基本料金は月額3,000円(税抜)で、月間受注件数201件から従量課金制が適用されます。その他、アプリ利用料や年間保守費用も必要です。
LOGILESS(ロジレス)
LOGILESS(ロジレス)は、前述したネクストエンジンよりもシンプルで使いやすいインターフェースが特徴です。こちらもAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング、Qoo10などと連携可能です。
LOGILESSの受注伝票から領収書を出力できます。また、販売者が作成した領収書を購入者がマイページからダウンロードすることもできます。ただし、ネクストエンジンのようにメール内で領収書発行リンクを共有する機能はありません。
LOGILESSの利用料金は、初期費用は0円です。基本料金が月額20,000円(税抜)で、月間の出荷数(501件〜)に応じて従量料金制度を導入しています。オプションとして、出荷可能在庫の追加やPOS連携、庫内デバイス利用も提供されています。
TEMPOSTAR(テンポスター)
TEMPOSTAR(テンポスター)は、今後の事業拡大を見据え、規模に応じて長期的に利用したい方におすすめです。
ネクストエンジンやLOGILESSと同様、数多くのサービスとの連携が可能です。TEMPOSTARの受注管理画面から、PDF形式で領収書を出力できます。
TEMPOSTARは、サポートメニューや利用可能な機能に応じて4つのプランがあり、料金体系がやや複雑です。詳細が気になる方は、直接お問い合わせすることを推奨します。
Shopify(ショッピファイ)の領収書に関するよくある質問とその回答
最後に、Shopifyの領収書に関するよくある質問とその回答を紹介します。
領収書を発行しないのはあり?
Shopifyでは現金決済はなく、多くがクレジットカード決済であるため、ほとんどの場合で領収書の発行義務はありません。そのため、領収書を発行しないのはありです。
領収書の発行を求められたら、クレジットカードの利用明細書が領収書の代わりになることを伝えましょう。その場合は、サイトで領収書の発行には原則応じない旨を明記するとよいでしょう。
明細書で代用するのはあり?
明細書はすべての決済方法において、発行の義務はありません。しかし、Shopifyの標準機能で発行でき、購入者が取引内容を確認するのに便利なため、商品に同封して送ることが多いです。
明細書は、領収書と記載内容はほとんど同じですが、支払いが完了した証明ではないため、領収書の代わりとして使うのは不適切です。別途領収書を発行するか、クレジットカードの利用明細書で代用する必要があります。
メールで送信する方法は?
Shopifyの領収書は、多くのアプリや外部サービスではメール送信の設定が可能です。
メールに添付ファイルとして送る形式や、メール本文にダウンロードリンクを追加する形式などさまざまです。具体的な送信方法は、各サービスの利用方法をご確認ください。
自動発行はできる?
Shopifyの領収書は、多くのアプリや外部サービスでは自動発行の設定が可能です。具体的な設定方法は、各サービスの利用方法をご確認ください。
PDFでダウンロードはできる?
ほとんどのアプリや外部サービスで、PDF形式の領収書をダウンロード可能です。領収書が添付されたメールで「印刷」ボタンをクリックし、「PDFに保存する」を選択することで、PDFでダウンロードができます。
はじめからPDFで領収書を購入者に送信する機能は、一部の有料アプリや外部サービスに限られます。
無料で発行する方法はある?
無料で発行する方法は、次のとおりです。
- 標準機能の明細書をカスタマイズする。
- 無料アプリを使う。
プログラミングの知識がない方は、無料アプリがよいでしょう。無料アプリだと、日本語対応していても翻訳が不自然であったり、アプリでもプログラミングの知識が必要であったりします。日本向けの有料アプリを使うのがおすすめです。
宛名変更はできる?
多くのアプリや外部サービスで宛名を変更することが可能です。具体的な操作方法は、各サービスの利用方法をご確認ください。
指定された宛名に間違いがないように、発行前に入念にチェックするようにしましょう。
インボイス対応はできる?
2023年10月から施行されたインボイス制度は、アプリや外部サービスによって対応がばらばらです。
アプリでは「Quick Order Printer かんたん帳票出力」や「領収書」が対応しています。外部サービスでは前述した3つのサービスすべてが対応しています。
言語は変更できる?
日本語の領収書を発行したい場合は、日本企業が開発・販売しているアプリや外部サービスを利用することをおすすめします。英語のみのサービスを日本語表記に変更する際は、プログラミングの知識が必要です。
購入者によって領収書の言語を変更するのは、より高度なプログラミングの知識が求められます。
ロゴは入れられる?
ほとんどのアプリでロゴを入れることが可能です。
外部サービスでは「ネクストエンジン」「LOGILESS」で対応可能です。簡単にボタン一つで画像を挿入できるものもあれば、ソースコードの編集が必要な場合もあります。
再発行はできる?
すべての決済方法において、領収書の再発行の義務はありませんが、アプリや外部サービスを利用すれば、領収書の再発行は可能です。
ただし、再発行による二重計上などのトラブルを防ぐため、再発行を拒否することもできます。再発行を行わない方針がある場合は、サイトでその旨を明記するとよいでしょう。
まとめ
Shopifyの領収書発行方法とおすすめのアプリを詳しく解説しました。
多くの場合で領収書の発行義務はないものの、顧客に求められたらすぐに発行することが、顧客満足度を向上させ、EC事業の売上につながります。
しかし、Shopifyの標準機能では領収書を発行することができないため、最適なアプリや外部サービスを見極めたり、プログラミングの知識が求められたりします。
Shopifyの設定に時間を取られることなく、EC事業そのものに集中したい方は経験豊富なパートナーを見つけることが重要です。Shopify Guideは、メディアの運営によってShopifyに関する幅広く情報を得ていますので、Shopifyでの運営ノウハウを共有したりコンサルティングしたりすることができます。
Shopifyの領収書の発行に限らず、Shopify運営でお悩みやご不安な点がある方は、下の問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。