
「ASPを利用するメリット・デメリットって何だろう」「どれくらいの費用がかかる?」これからASPでECサイトの構築を考えているEC担当者は、このような悩みを持っているのではないでしょうか?
ASPとは、アプリケーションサービスプロバイダ(Application Service Provider)の略で、「Shopify」やよくCMでみかける「BASE」などはASPにあたります。低コストですでに用意されているテンプレートや機能を用いるため、ECサイトを構築したことがない初心者におすすめです。
では、ASPを導入するメリットやデメリットは何があり、導入費用はどれくらいなのでしょうか?今回は、ASPを利用してECサイト構築を行うメリットやデメリット、注意点、どれくらい費用がかかるのかについて解説します。ASPでECサイト構築を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
ECサイト構築におけるASPとは
ECサイトを構築する方法はいくつかありますが、その中の一つに「ASP」という方法があります。ASPは、自分でサーバーを用意せずとも、提供されているクラウド上でECサイトを構築できるサービスのことです。
ASPには最初からECサイトには必須の決済機能や商品管理などの機能が組み込まれており、ASPの中には初期費用・月額費用が無料で利用できるものもあるため、初心者でもECサイトを構築することができます。
ECサイトをASPカートで構築するメリット
ECサイトを構築する際にASPを使うメリットには、主に次の7つがあります。
- コストを抑えやすい
- 手軽に導入しやすい
- 構築スピードが比較的早い
- 情報収集しやすい
- 専門知識があまりいらない
- 運用保守や機能改善が不要
- セキュリティ対策が不要
コストを抑えやすい
ASPはECサイトを一から制作するのではなく、すでに用意されている機能やテンプレートを利用してECサイトを構築するため、導入コストは低価格な場合が多く、初期費用を抑えやすいです。低価格と言っても初期費用や月額費用にそれぞれ数万円以上かかる場合がありますので、それなりの費用は必要です。
無料のものもありますが、機能やデザインが限定されできることが少なくなるため、あまりおすすめはしません。
手軽に導入しやすい
提供されているクラウド上でECサイトを構築するため、自社でレンタルサーバーを契約したりソフトをインストールしたりする必要がありません。システムのアップデートや機能を追加したいといった場合にもASP側が行ってくれるため、専門的な知識や高度な技術がなくても手軽に導入しやすいです。
構築スピードが比較的早い
既に用意されているテンプレートなどを利用するため、一からサイトを構築するよりか構築スピードを大幅に減らせます。構築スピードが早いことにより、すぐにサイトをオープンでき売り上げを作ることが可能です。
しかし、実際にサイトをオープンする際は、最短でも数ヶ月はみておいた方が良いでしょう。ECサイト自体は運営開始できるといった状態でも、決済機能の審査待ちや外部サービスとの連携などに時間がかかる場合があるからです。
外部サービスとの連携がまだだったり決済機能が審査待ちだったりするのにサイトをオープンさせてしまうと、ユーザーからのクレームにつながり、評判が落ちてしまいます。ですので、サイトオープン日から逆算して審査を出すようにしましょう。
情報収集しやすい
よほどニッチなASPでない限り、他の利用者も利用しているため、検索エンジンで検索をしたら使用方法やQ&Aなどの情報が出てきます。そのため、使用していてわからないところがあったりトラブルが起こったりした際など、簡単に情報収集することが可能です。
専門知識があまりいらない
一から制作するわけではなく、また迷ったことがあってもガイドがしっかりしているため、専門知識があまり要らずに解決できます。システムのアップデートや機能を追加したいといった場合にもASP側が対応してくれるため、専門知識や高度な技術はほぼ要らないでしょう。
運用保守や機能改善が不要
ECサイトを自社でゼロから構築した場合は、システムの運用保守や機能の改善は、自社で行うにせよ依頼するにせよ新たなコストがかかってきます。しかし、ASPはシステムの運用保守であったり機能の改善を行ったりはASP側が行ってくれます。利用者がアップデートを行わなくても自動でアップデートを行ってくれるため、最新のバージョンをいつでも利用できます。
セキュリティ対策が不要
オープンソース型やフルスクラッチ型でECサイトを構築した場合、運営していく限りずっとセキュリティ対策を怠れません。もし脆弱性が見つかればシステムをアップデートしなければなりません。
アップデートを行う前には、
- アップデートを行ってもサイトは問題なく稼働するのか
- ほかのソフトウェアと互換性はあるのか
などをチェックする必要がでてきます。しかし、ASPならばセキュリティ対策はASP側が行ってくれるため、ECサイトの売り上げに注力することが可能です。
ECサイトをASPカートで構築するデメリット
ASPでECサイトを構築するデメリットには、主に次の3つがあります。
- 機能やシステムが限定的
- 外部システムとの連携が難しい
- 独自のカスタマイズがしにくい
機能やシステムが限定的
当たり前ですが、すでに用意されている機能やテンプレートを利用することができますが、用意されていない機能やテンプレートは使えません。制限が多くない有料のASPを選んだとしても、利用できる機能やテンプレートは限定的になります。
利用したい機能があったとしても、追加で費用がかる場合もあります。また、「この機能を追加して欲しい」などの要望を出したとしても、追加されるかはわかりません。
外部システムとの連携が難しい
ASPは本来、外部システムとの連携は考慮せずに作られています。物流のシステムや基幹システムと連携したい場合、ASPは向いていないでしょう。
要望を出すことにより連携できるようになる場合もありますが、ASP自体、自身のサービスで完結するよう構築されていますので、外部システムと連携したい場合はパッケージ型やフルスクラッチ型で構築した方が良い場合もあります。
独自のカスタマイズがしにくい
共通のプラットフォームを利用するので、独自のカスタマイズを行うことは厳しいです。特に、デザインの場合はテンプレートが既に決まっておりその中から選ぶため、作り込むことは難しいといえます。
無料版ASPと有料版ASPの違い
ASPには無料版と有料版があり、ECサイトを構築する際はどちらかを選ばなければなりません。有料版と無料版では利用料や使える機能などが異なります。
無料版ASP
無料版のASPでは、簡単にするに始められることがメリットです。しかし、HTMLやCSSによるカスタマイズができず、デザインのテンプレートも限定されているため、「ある程度カスタマイズしたい」「デザインにこだわりたい」という方に無料版は向いていません。
機能面では、ECサイト運営に必要な基本的なものは揃っていますが、ポイント付与機能やメルマガ機能などは十分ではありません。ECサイトを手軽に始めたいという方にはおすすめですが、本格的に運用していきたいといった方には有料版のASPで始めることをおすすめします。
有料版ASP
無料版とは異なり、有料版のASPではHTMLやCSSによるカスタマイズをある程度行うことができ、デザインで他社と差別化できます。また、ポイント付与機能やメルマガ機能など+αの機能が使えるようになります。
ECサイトを本格的に始め、積極的に売り上げを作っていきたいという方には、有料版がおすすめです。
ASPでECサイトを構築している事例
前述したように、ASPには無料版と有料版があります。ECサイトを構築して長く運営していきたいと思っている場合は、各サービスを吟味する必要があります。適当に選んでしまうと、後で「これにすれば良かった……」といった事態になり、移管する必要が出てくるからです。
初心者には移管は難しいため、しっかりと比較していきましょう。無料版と有料版を6種類紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【無料】BASE
香取慎吾さんのCMでおなじみの「BASE」。初期費用・月額費用はともに無料で、最短1日ですぐにECサイトを運営することができます。初期費用・月額費用が無料な分、商品が売れるたびに決済手数料やサービス利用料がかかります。
デザインテンプレートはデフォルトの状態で11種類、有料テンプレートだと55種類あるため、豊富なデザインの中からテンプレートを選ぶことができます。
決済手段は6種類に対応しています。
- クレジットカード決済
- コンビニ決済
- キャリア決済
- 銀行振込
- PayPal決済
- 後払い
また、外部連携機能も充実しており、「noteストア」や「Instagram販売」などのSNS連携機能も無料で利用できます。
【無料】STORES.JP
「STORES」は、初めてECサイトを開設・運営する初心者でも簡単におしゃれなサイトが作れるサービスです。月額費用のかからない無料プランと月額1,980円のスタンダードプランの2種類があります。
無料版のASPでは手数料が割高になる中、STORESは無料版でも無料版でも販売手数料がかからず、決済手数料も5%です。また、デザインテンプレートは48種類あるため豊富な中から自社に合っているデザインを選ぶことができます。
【有料】Shopify(ショッピファイ)
「Shopify(ショッピファイ)」は、世界中で利用されているカナダ発祥のASPです。越境ECに対応していることが特徴で、外国の言語や通貨にも対応しているため、日本市場だけでなく海外展開も視野に入れている方にはおすすめです。
また、コストも比較的安く「ベーシックプラン」から「プラスプラン」まで4段階に分かれており月額$29(約3,200円)から始められます。
カナダ発祥のASPであるため英語がメインであり、メインの言語や説明ページなどは英語で記されている場合が多いです。この問題は翻訳アプリやGoogle Chomeの翻訳機能を使用すれば解決できるため、英語に苦手意識がある方でも安心でしょう。
【有料】MakeShop(メイクショップ)
MakeShopは、GMOグループが提供するASPで、高機能と使いやすさを兼ね備えています。機能数も多くその数650を超え、またクーポン機能やまとめ買いしたときに割引してくれる機能なども充実しているため、売り上げアップを目指すEC担当者にはおすすめです。
【有料】らくうるカート
らくうるカートは、ヤマト運輸が提供しているASPです。ヤマトグループの決済や配送など、一つの管理画面で必要な機能をまとめて運用できるのでとても便利です。本契約の前に30日間無料お試しできるため、自社に合うのかなと不安に思う方も安心です。
【有料】カラーミーショップ
カラーミーショップは、GMOペパポ株式会社が提供しているASPで、コストが低くでも本格的なECサイトを構築できるサービスです。すべての機能が揃っているレギュラープランの費用が月額3,300円であり、販売手数料は無料であるため費用を抑えながらサイトを運営できます。
スマホのアプリもあるため、入金状況や商品の受注、購入情報など手軽に確認できるのも魅力です。
ECサイトをASPで構築する際にかかる費用
ECサイトを構築する際、ASPは初期費用がまったくかからないものもあれば、数千円〜数十万円かかるものもあり、導入するASPによって相場が異なってきます。月額費用も同じで、「BASE」のように無料のものもあれば、「Shopify」のように月額費用がかかってくるサービス業者もあります。
相場は小規模から中規模取引向けのプランだと月に0円〜数千円かかり、企業向けのプランだと数万円ほどかかる場合が多いです。初期費用・月額費用をなるべくゼロに抑えたいのなら無料版ASPがおすすめですが、商品を販売するときに発生する販売手数料や決済手数料が高くなってしまう可能性がありますので注意しましょう。
ASPをどこにするか検討する際は、あらかじめどの機能が必要か明確にして予算を決めておくと、決めた予算にあったASP業者が探しやすくなります。
ASPを導入するときのポイントや注意点
ECサイトをASPで構築する際は、次の点に注意しましょう。
- コストはどれくらいかかるのか
- 望んでいるデザインのカスタマイズは可能か
- レスポンシブ対応されているのか
- 独自ドメインはとれるのか
ASPには初期費用や月額費用がかからない無料版と費用がかかる有料版があり、無料版の方がお得に感じるかもしれません。しかし、販売手数料や決済手数料の割合に注意しなければなりません。割合が高いと、いくら売ってもなかなか利益にならないという可能性もあります。
無料版と有料版、双方にいえることですが、他の構築方法と比較するとカスタマイズ性はそこまで高くありません。無料版ならなおのことです。用意してあるテンプレートで大丈夫であれば問題ありませんが、デザインを作り込みたいとなった場合は、ASPは少々不便に感じるでしょう。
また、レスポンシブ対応といって、スマホでサイトを開いた際にスマホ対応されるかも大切なポイントです。なぜなら、近年パソコンよりスマホでサイトを見る・買い物をするといった人の方が多いからです。
パソコンでどれだけ使いやすいサイトにしようがスマホで使いにくいサイトだったら、ユーザーはすぐ離脱してしまうでしょう。それだけレスポンシブ対応は大事です。
その他、独自ドメインが良いという方もいるでしょう。ASPによっては独自ドメインを設定できなかったり追加で費用がかかったりする場合もあります。ブランディングのために独自のドメインが良いという方は、ドメインにも注意しましょう。
まとめ
ECサイトの構築でASPを利用するメリット・デメリットや注意点、無料版と有料版の違いについて解説しました。
ASPは低コストで手軽に導入でき、専門知識もあまりいらずセキュリティ対策も不要などのメリットがありますが、機能やシステムが限定的だったり独自のカスタマイズがしにくかったりといったデメリットがあります。
また、ASPの中でも無料版と有料版があり、無料版は手軽にECサイトを始めたいという方には向いていますが、本格的に運営していきたいといった方にはおすすめできません。反対に、有料版であればECサイトを本格的に始め、積極的に売り上げを作っていきたいという方にはおすすめといえます。
ASPの一つである「Shopify」は有料ですが、越境ECに対応しているのが特徴で外国の言語や通貨にも対応しているため、日本市場だけでなく海外展開も視野に入れている方にはおすすめです。
Shopify Guideは、メディアの運営によってShopifyに関する幅広く情報を得ているため、ECサイトの運営ノウハウを共有することができます。特に、SEO対策(コンテンツSEO)やインターネット広告においては非常に強みを持っています。ECサイトの立ち上げや、運営に関してお困りの方は、こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。