近年、スマホが普及したことにより、デジタル化が進んでいます。デジタル化によってユーザーの消費行動も大きく変わっている中、新たな販売チャネルとしてECサイトを立ち上げた企業も多いのではないでしょうか?
「ECサイトを立ち上げたものの、運用方法がわからない」「売上アップにつながるようなECサイトの運用方法を探している」こんな悩みをお持ちのEC運用担当者の方も少なくありません。
そこで今回は、ECサイトの運用方法をどこよりも詳しくわかりやすく解説します。これからECサイトを立ち上げる方や、既に立ち上げていて成果を上げるために運用方法を見直そうとしている方は、最後までチェックしてみてください。
Contents
ECサイト運用の業務フロー
まずは、ECサイトの運用業務の流れを紹介します。ECサイトの運用業務は、ユーザーの目に触れる視覚的な部分に関するの「フロント業務」と、サービスを動かすためのシステム等にあたる「バックエンド業務」があります。
<フロント業務>
- 企画
- 仕入れ
- サイト制作
- プロモーション
<バックエンド業務>
- 決済処理
- 在庫管理
- 出荷・配送
- アフターフォロー
フロント業務
フロント業務とは、ユーザーの目に触れる視覚的な部分に関する業務全般を指します。たとえば、ユーザーが求める商品の企画、商品化に向けた仕入れ調整、販売のためのサイト制作、実際にユーザーに認知してもらうためのプロモーションなどが該当します。
それぞれの業務内容を詳しく解説します。
企画
企画とは、新たな商品を開発・企画する業務です。企画と聞くと、「こんな商品なら売れそうだ、面白そう」という感覚的な要素が多いと思われがちですが、実際の企画業務はまったくの別物です。
感覚的な発想で作った商品が爆発的に売れることもあると思いますが、それに続くような商品を生み出せるかというと、あまり現実的ではありません。なぜなら、感覚的な発想から生まれた商品は「仮説や検証」が少なく、実際に売れた理由を分析し再現することが難しいからです。
反対におすすめなのが、ユーザーアンケートなどで市場を調査したデータを分析し「顧客のニーズ」を把握したうえで商品のイメージを膨らませる方法です。「だれのどんな悩みを解決し対価を得るのか」を考え、参入市場を決めるために自社の強み弱みを分析し、競合と比較した際の優位性を考えます。
このように、仮説をもって商品を企画し販売することで、もし失敗したとしても振り返りやすく次に活かすことができます。ただ商品を感覚的に生み出すのではなく、消費者視点になり仮説をもって再現性の高い商品づくりを意識することが重要です。
仕入れ
デジタルを活用したECサイトといえど、物販である限り「在庫」から目を背けることはできません。在庫が少ないせいで「購入したいユーザーは多いのに販売できない」なんてもったいないですし、反対に「全く売れず在庫が余ってしまい、倉庫の維持費で赤字状態」もあってはなりません。
また、新規取引先であれば契約時に審査がある場合が多く、販売までに想定以上に時間がかかってしまう場合もあります。この他にも、大量に仕入れることで1個あたりの仕入単価を抑える方法もありますが、前述のように在庫が余ってしまっては元も子もありません。
そう考えると、ECサイト運営における仕入れ業務は非常に重要です。
サイト制作
商品を企画し、仕入れが完了すれば、後は実際に販売するだけです。”だけ”といっても、準備すべきことはたくさんあります。その一つが「サイト制作」です。
試行錯誤しながら作り上げた商品を実際にユーザーに買ってもらうためには、商品の説明をしたり魅力を伝えたりするためのウェブページは欠かせません。ウェブページが魅力的であればあるほど、ユーザーは「ちょっと買ってみよう」という気持ちが強くなります。
産業革命以降、世の中はモノで溢れています。「どこから買うか」をユーザーに伝えることで自社商品の購入につながります。サイト制作は手を抜かず、ユーザー第一で申し込みまでの導線を作るようにしましょう。
プロモーション
どれだけ良い商品を作って、ユーザーに感動してもらえるサイトを用意していても、ユーザーに認知されなければ意味がありません。幸いにも、デジタル化によってスマホが普及しているため、Web広告を活用することで効率良くユーザーに商品を知らせることができます。
リスティング広告やディスプレイ広告、最近では動画広告も広まっており、若干の費用こそかかってしまいますが、お金をかける以上の効果が期待できます。もし費用をあまりかけたくない場合は、自社サイトでブログ記事を投稿し、ブランド認知を広げる「コンテンツマーケティング」を検討してみてください。
バックエンド業務
続いては、バックエンド業務です。バックエンド業務とは、サービスを動かすためのシステム等に関する業務全般を指します。
たとえば、購入時の決済システムや、在庫管理システム、出荷・配送システム、購入いただいたユーザーに対するアフターフォローなどが該当します。それぞれの業務内容を詳しく紹介します。
決済処理
ユーザーが商品を購入する際の支払いシステムを用意する必要があります。自社で作れればベストですが、決済システムをゼロから作ると、とんでもない金額になってしまいます。そのため、既存のシステムをパッケージで提供している企業のサービスを導入することをおすすめします。
パッケージ商品では「できること」「できないこと」が決まっているため、パッケージ以外の機能を実装するには追加料金が発生するケースがあります。なるべく費用は抑えたいところですが、決済時のやり取りでもし不具合・トラブルが発生してしまうと信用問題に発展します。トラブルを未然に防ぐという意味でも、一定以上の費用をかけるべきともいえます。
在庫管理
在庫管理では、その名のとおり在庫の過不足管理を行います。事業計画に基づいた仕入れはもちろん、販売状況に合わせた追加発注の管理、過不足が起きて会社の損失にならないよう注意するのが主な業務です。
相場感を掴めないと判断が難しい領域でもあるため、社歴の長い方が担当している傾向があります。
出荷・配送
出荷や配送業務は外注している企業が多いですが、一部では内製化している企業もあります。ユーザーの購入状況に合わせて倉庫から在庫を取り出し梱包、配送業者に引き渡すまでが一連の流れです。
アフターフォロー
ECサイトにおいて忘れがちなのが「アフターフォロー」です。新規ユーザーにどうやって認知してもらうか、購入してもらえるかは試行錯誤しますが、購入してくれたユーザーの満足度を向上させることは忘れがちです。
継続購入や知人への紹介、ネットへの口コミ投稿を増やしていくのか、これを忘れているケースがあります。せっかく自社商品を利用してくれたユーザーなのであれば、喜んでいただいた少しでも長くお付き合いしたいですよね。お互いが良い関係を築くためにもアフターフォローは非常に重要です。
ECサイトを運営するうえで重要なポイント
ECサイトを運営するうえで重要なポイントは、大きく分けて3つあります。それぞれ順番に解説していきます。
- ユーザー目線(UI・UXなど)を徹底する
- モノが溢れる時代だからこそ「買う理由」を重視する
- 良し悪しはデータから判断する
ユーザー目線(UI・UXなど)を徹底する
少し前までは、企業の資本力や知名度が購入の決め手でした。いわゆる「大企業かどうか」です。しかし、スマホが普及したことでデジタル化が進み、企業の大小ではなく「サイトの利便性」が購入するかどうかを大きく作用するようになりました。
どれだけ良い商品でも「買いづらい」「見にくい」「操作しにくい」といった部分でユーザーが不満を感じると離脱してしまいます。可処分所得時間の奪い合いが進む現代だからこそ、サイトの使いやすさは重要な決め手です。
モノが溢れる時代だからこそ「買う理由」を重視する
産業革命以降、世の中はモノで溢れています。仕方のないことですが、良い意味で似た商品が多く輩出され、ユーザーは常に「どれを買うか」を選択しています。みなさんも、機能性はほぼ同じでブランドだけ異なるというシーンを経験したことがあると思います。
その際に、何を基準で商品を選んでいるか思い出してみてください。多くの場合、「聞いたことあるか」「知人が使っているか」などではないでしょうか?これを言い換えると「どうせ同じ商品を買うならそのブランドから買いたい」という状態です。競合との差別化ポイントとして、ブランドへの共感を生み出すことはECサイトの成功には欠かせないといえますね。
良し悪しはデータから判断する
冒頭でもお伝えしたように、感覚的な判断は非常に危険です。アナログからデジタルに変わった最大のメリットは「すべてのデータが取得できること」です。
ひと昔前であれば、オフラインでの施策が中心だったため、戦略・戦術の良し悪しは「経験者の声」が判断材料でした。長年現場を経験した方の声を参考にすることで、施策の成功率は高まるでしょう。しかし、失敗した場合の原因は特定しにくく、成功したとしても再現性が低いです。
一方で、デジタル化によって見えなかったデータが見えるようになり、施策の良し悪しを定量的に判断できるようになりました。これによって、事業の拡大や効率良く新規ユーザーを獲得できるようになったのです。
ECサイト運用で成功するにはサイト分析が必須
ただ闇雲にサイトを運営しても良い結果は得られません。せっかくデジタルを活用してビジネスをするなら「データ」を活かしましょう。
ECサイトを運用する中で、蓄積したデータを分析して「さらに良くするためには何をすべきか」を考えることが重要です。
分析手順
いきなりデータを見るのではなく、まずは「目的」を整理しましょう。「何に課題があるのか?」「クリック率かカゴ落ち率か?」「サイト内の回遊率か?」それによって見るべき指標も異なりますし、解決策も全然違うものになります。
そのうえで、まずは大きな情報から小さな情報と順番に見るのがおすすめです。大きな情報から俯瞰してみることで、ざっくりとした傾向を知ることができます。そこから少しずつ小さな情報に絞り込むことで、具体的な施策に落とし込めます。
たとえば、広告の表示回数からクリック率を確認し、LP(ランディングページ)への誘導数を確認する。では、その誘導したユーザーのうち何名が申込みしたか確認する。
このように、大きな視点からブレイクダウンすることで傾向を掴めます。そこから、「地域はどこ?」「時間帯は?」「どこで知ったのか?」などを確認することで、詳細な分析ができます。
指標にすべきKPI
KPIを設定する際は、最終目標でもあるKGIから設定するとわかりやすいです。たとえば、新規申込数をKGIとした場合、新規申込数
- 新規申込数=訪問者数×申込率
で算出できます。この訪問者数や申込率がKPIになります。
しかし、この段階ではまだ粒度が大きいため、訪問者数をさらに分解していきます。訪問者数は
- 訪問者数=新規訪問者+再訪問者
で算出され、新規訪問者や再訪問者がさらに小さなKPIとなります。
このように、自社がECサイトを運営する目的を整理し(ほとんどが売上や新規購入でしょう)、KGIを設定することでKPIは自動的に決まってきます。まずは、KGIを設定してみてください。
おすすめの分析ツール
Googleが無償で提供している「Google アナリティクス」は絶対に利用しましょう。Google アナリティクスはサイト分析ツールであり、無料で利用できるうえに、簡単な設定を行うだけでサイト内のデータをすべて蓄積することができます。
また、同じくGoogleが提供している「Google Search Console(サーチコンソール)」も必須です。同じく無料で利用できますが、Google アナリティクスとやや用途が異なります。サーチコンソールは、ユーザーがGoogle検索においてどのようなキーワードで検索してサイトへ訪問したのか、サイトの掲載順位や表示回数、クリック率まで確認することができます。
この他にも多数の解析ツールがありますが、最低限の機能はGoogle アナリティクスとGoogle Search Consoleで十分カバーすることができます。Google アナリティクスとGoogle Search Consoleで不足を感じるようになれば、有料のツールを導入する流れで問題ありません。まずは、Googleが提供しているツールを活用しましょう。
ECサイトの運営に成功している事例3選
最後に、実際にECサイトの運用に成功している事例を3つ紹介しましょう。
- ZOZOTOWN
- グリコ
- 北欧、北暮らしの雑貨
ZOZOTOWN
出典:ZOZOTOWN
サイトはシンプルですがUI・UXが完成されており、欲しい商品はすぐに見つけることができます。つけ払いサービスなど購入のハードルが低くなるよう考えられています。
また、2021年11月に始動したOMOのプラットフォーム「ZOZOMO」を活用して、ZOZOTOWNユーザーに在庫情報を共有することにより、実店舗への送客を可能にし、売上を拡大しています。
グリコ
出典:グリコ
グリコダイレクトショップは、実店舗では買えない限定商品をECサイトで販売することでユーザーに人気があります。「オンラインでしか購入できない」というレア感が成功の肝といえそうです。
北欧、北暮らしの雑貨
出典:北欧、北暮らしの雑貨
北欧、北暮らしの雑貨は、サイトをパッと見ただけでわかる「ヴィンテージ感」が特徴です。ヴィンテージが好きで北欧の暮らしに憧れがある30代女性といったように、ペルソナが明確なのでユーザーが自分事化しやすいことも成功の一因といえます。
ECサイト内ではセールをあまり訴求していませんが、圧倒的なブランディングによりファン化がしっかりできているため、購入者のうちリピーターの割合が多いです。さらに、トップページから詳細ページ、購入までの導線がわかりやすく整理されているため、購入途中でユーザーが迷わないのも良い点だといえます。
まとめ
デジタル化が進む現代においてECサイトの運用はかなり効果的です。スマホも普及しているので多くのユーザーはネットで買い物を解決させています。
競合に出遅れないためにも、まずはECサイトを立ち上げて運用してみましょう。その際は、今回お伝えしたことをぜひ参考にして運用してみてください。
ECサイトを運営するうえで重要なポイントは3つあります。ぜひ覚えておいてください。
- ユーザー目線(UI・UXなど)を徹底する
- モノが溢れる時代だからこそ「買う理由」を重視する
- 良し悪しはデータから判断する
ShopifyをはじめとしたECサイトで売り上げを伸ばしていくには、マーケティングをしっかりと行い、取得できたデータを分析して改善していくことが重要です。Shopify Guideは、メディアの運営によってShopifyに関する幅広く情報を得ているため、ECサイトの運営ノウハウを共有することができます。ECサイトの運営や管理などに関してお困りの方は、こちらの問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。